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専業主婦 「夫の収入500万円未満は日雇い派遣NG」の不可解

 職場の同僚、学校の同級生、マンションのお隣さんなど、置かれた立場や生まれた年、生活環境が自分とほとんど変わらないと思っていた相手が、なぜか国から手厚い社会保障サービスを受けている…。そんなすんなりと納得できない不条理な制度が《公的差別》だ。

 専業主婦の間にも制度による格差が生じている。システムエンジニアや通訳・翻訳、研究職、受付など専門性の高い18業種は雇用期間30日以内という短期間の「日雇い派遣」の労働者として契約することが認められている。

 ところが、労働者派遣業法には、同じ専業主婦でも夫の年収(世帯年収)が500万円以上なら日雇い派遣の職に就けるが、夫の年収が500万円未満の場合はダメだという不可解な制度がある。

 東京労働局は、「収入が少なく生活が不安定な世帯に、雇用が不安定な日雇い派遣は認められないという考え方で決められた」(需給調整事業部)と説明する。

 だが、夫の収入が少なく生活が苦しいからこそ「短期の日雇い派遣でも良いから稼いで生活の足しにしたい」と思う人もいるだろう。それなのに国は「年収の低い人は働けない」という制度にしている。

 しかも、サラリーマンの平均年収は約414万円(国税庁民間給与実態統計調査)。年収500万円を安定した生活の基準にする厚労省の線引きでは、「日雇い派遣」で職に就ける主婦の方が少数派かもしれない。

※週刊ポスト2015年8月21・28日号

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