お笑いコンビ・アジアンの隅田美保が「ブス」といじられることが本当に嫌だったと告白したが、他人から「ブス」と言われることと、自分で「ブス」と自虐することでは天と地ほどの差があるのだ。コラムニストで淑徳大学人文学部客員教授の深澤真紀さん(48才)が、「ブス」について語る。
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女性がいくつになってもブスかどうか問われるようになったのは、比較的最近のことです。一昔前の女性はお見合いや職場恋愛で結婚して、30代以降は母親かオバサンだった。今は女性ファッション誌の影響などで40代、50代がきれいになった分、「女性ならばいくつになっても容姿を気にすべし」という風潮が強い。
私の経験から言うと、世間はブスに対し、【1】ブスを認めて自虐するキャラになる、【2】ブスを徹底的に改善する、【3】「人間は中身が大事」と思い込む、という3つのことを求めます。
それらをすべてこなそうとしてもつらいだけです。私は3つとも拒否しました。
“うん、私はブスだ、以上”、とブスを甘んじて受け入れるけど改善せず、中身が大事と開き直らず、過剰に意識しないことが大切です。
ブスは、「世間の人は容姿を気にする」と思いがちですが、考えすぎです。人間は他人がブスであることにそれほど興味がない(笑い)。むしろこちらがブスだと気にするから、相手もそう思ってしまうのです。
しかも、女性に「お前はブスだ」と告げるのは、男性に「お前はハゲだ」「お前は包茎だ」と伝えるようなもの。そんなこと、言うほうが幼稚なので気にしないことです。
私自身、幼い頃からブスを自覚していました。普通、親は子供に「カワイイね」と繰り返すけど、私は両親や親戚一同から「お前はブスだ」と言われて育ちました。
学校の「美人・ブスコンテスト」では確実にワースト3に入っていました。でも、クラスの仕事をサクサクこなして周囲から嫌われず、オタク的趣味に没頭する子供だったので、いじめられたり、苦痛に思ったりすることはなかった。
※女性セブン2015年9月3日号