甲子園のネット裏最前列の観客席には、本誌でもおなじみ、蛍光イエローのキャップにラガーシャツという風貌の名物ファン、通称「ラガーさん」が座っている。
ところが、そのラガーさんの偽者が出現。中継で並んで観戦する姿が映し出されただけでなく、本物と“指定席”を巡り騒動が起きた。
偽物はツイッター上で自ら「偽ラガー」と名乗り、東海大相模(神奈川)対聖光学院(福島)による2回戦が行なわれた8月12日に球場へ一番乗り、ラガーさんがいつも座る席「A73」の隣、「A74」を確保した。
だがその後、ラガーさんとともにこの席周辺で観戦する「8号門クラブ」(注/高校野球の私設ファンクラブ。甲子園球場のバックネット裏に通じる「8号門入口」に集うことからそう呼ばれている)のメンバーに「後ろの席に行け」と強要され嫌がらせを受けたと主張。その一部始終をツイッターに書き込んだ。
甲子園大会は全席自由席だ。ラガーさんや8号門クラブのメンバーは毎日泊まり込みで並び、“指定席”を確保する。
「プロのスカウトも一緒に並ぶから運営側は排除できない」(スポーツ紙記者)というが、8号門クラブが事実上ネット裏を占有しているとして一部で反発の声が上がっていた。そこへ今回、偽ラガー氏が並んで席を取ったのに嫌がらせを受けたとツイッターに投稿したことで、ネットが炎上したのだ。
偽ラガー氏に対しては激励のメッセージが多数寄せられたほか、署名サイトchange.orgでは、「甲子園のバックネット裏は八号門倶楽部のものではありません。一部団体の私物化に抗議します」という署名が登場し、同クラブが批判された。
ただ、前出の記者は「“本物”側にも言い分はあると思う」と語る。
「実は偽ラガー氏は、昨年も甲子園で本物の横に座って話題になった。その際、ラガーさんがフェイスブックで〈私および8号門クラブとは一切関係ありません〉とし、“私と同じような格好で知人のふりをして、女性に付きまとうなどの迷惑行為を繰り返し、関係者や警察に迷惑をかけている”と主張していた。こうした経緯があっての今年の揉め事だったのではないでしょうか」
甲子園の場外乱闘は、来年も続くかも。
※週刊ポスト2015年9月4日号