1989年6月4日、北京の天安門広場に民主化を求めて集まった学生や市民に対し、軍が発砲した天安門事件。中国政府は一貫して、「事件は一部の学生らによる『暴乱』であり、軍の出動は正しかった」と主張する。そして公式の犠牲者数は319人と発表している。
中国政府の隠蔽体質から言えば、この犠牲者数が正確だと考える者はいない。この日、天安門広場に集まった学生や市民は10万人規模とされ、軍は無差別に発砲したので、死者は数千人とも数万人ともいわれている。
中国では今でも天安門事件はタブーで、中国のメディアでこの事件が扱われることはない。国内からインターネットで「天安門事件」「六四事件」を検索すると、しばらくネットにつながらない状態になる。本当に正しかったというのなら、なぜ堂々と情報を公開しないのだろうか。
※SAPIO2015年9月号