今年6月21日、JAグループ京都が中国・北京で開催した『京野菜を使った大晩餐会』。晩餐会の料理は、中国と日本のトップシェフにより、京野菜を使った日本料理と中華料理の特別コースがふるまわれた。
日本側はフランス、トルコに続いて3回目となる京都の老舗料亭『美濃吉本店竹茂楼』調理総支配人の佐竹洋治さんと、京料理『たん熊北店』三代目主人の栗栖正博さんが担当した。
「中国人シェフたちは、賀茂なすに衝撃を受けていましたね。大きさにも驚いていましたが、半分に切った賀茂なすを見て驚嘆したのです。中国のなすは中身がスポンジみたいにやわらかいのですが、賀茂なすはしっかりと身が詰まっている。もちろん、田楽にした味も食べ応えがあってすばらしいと。こんななすの実は、世界中で賀茂なすだけですから」(佐竹さん)
中国側から参加した北京ダックの有名店『全聚徳』のシェフは、臭みがなく独特の甘さの味がある九条ねぎを春巻の具に使い、長ねぎの代わりにさまざまな料理に使ってみたいと興味を示した。
今回、JA京都中央会の中川泰宏会長は中国の農業部で講演も行った。各地から参加した農業部の責任者たちは、日本のJAの仕組みや現状について熱心に聞き入り、講演終了後は質疑応答が続いた。
「驚いたのは、中国の多くの人たちが日本の野菜について興味を持っていて、私たちにいろいろ聞いてくることです。スーパーでは、ごぼう、きゅうり、にんじんとひらがなの表示がされて、日本産ではないのに日本産かと思わせるようなディスプレーで売られていました(笑い)。中国の人たちは、いいものは高くても買ってくれる。京野菜は必ず、中国で受け入れられるはずです。中国人口13億人の1%でも京野菜を食べてくれたら、うれしい限り」
中川会長は、一昨年はフランスのベルサイユ宮殿、昨年はトルコのトプカプ宮殿で同様の晩餐会を開いている。海外に京野菜を紹介する活動に力を入れていく先には、京野菜を世界から求められる輸出品としていくという夢がある。そして、もう京都では“輸出できる京野菜”を作っていく動きが始まっている。
『ふるさと農園』代表の古里治彦さんは、それを担っている1人だ。かつてはパート2人を雇用して果菜類を栽培していたが、15年ほど前に小松菜、さらに7年前に九条ねぎを加えた栽培に切り替え、今では12人を雇って、九条ねぎ5ヘクタール、小松菜1ヘクタールの畑で生産量を増やしている。
「規模を拡大して栽培すると機械化ができ、同じ商品を作ることでコストが下がり、年中出荷できるために収入も安定します。農家ではなく、農業という職業を成立させることが大切だと思います」(古里さん)
※女性セブン2015年9月3日号