バラエティー番組では女性芸人に対し「ブス」と気軽に言う風潮もあるが、実は傷ついている女性芸人も少なくない。女性はいったい「ブス」をどう捉えているのだろうか? ブロガー・作家で、日本テレビ『スッキリ!!』でコメンテーターも務める、はあちゅうこと伊藤春香さん(29才)が「ブス」を語る。
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今はダイエットをして小顔マッサージやエステに通っていますが、10年前の大学生の頃はもっとムチっとしていました。
当時、ブログで自分の写真を公開したら、「ブス」というコメントが1日400件ついたほどです。ネットの画像検索で「ブス」と入力したら、自分の顔写真がいちばん上に載っていたこともあります。
合コンでも、相手から「ブス相手だと飲んだ気にならない」「ブスは帰れ」と罵られ、他の女子より高い飲み代を要求されました。さすがに落ち込み、遠くで笑っている人を見ては、「あの人、私を見て笑っている」と被害妄想に陥ったことさえありました。
ブスと言われ続けることでいちばん怖いのは、暗示がかかって心もブスになっていくことです。子育てでも「頭いいね」と褒めると子供の学力がぐんぐん伸びるといわれているように、「ブスだね」と言われ続けるとブスマインドが根づいてしまい、自信や自尊心を失って“私なんかどうでもいいや”と投げやりになってしまう。
女性ならば誰でも“女としても認められたい”という気持ちがどこかにあるはずです。容姿を否定されると、すべてのモチベーションが崩れる。たとえ自分に好意を寄せる男性が現れても、「ご飯に誘ったら迷惑だろう」「連絡しても返事がないだろう」と奥手になって、すべてに対して「ブスだから」と逃げてしまう。恐ろしい負のスパイラルにはまってしまうんです。
ブスは、自己評価を極端に低くさせます。自分をしっかり持てないから他人の評価を行動基準にしてしまい、常におどおどと臆病になる。自己評価が高ければブスにはなりません。
最近、流行りの婚活に走る女性も根は同じです。世間の目を気にして、“そろそろ結婚しておかないと…”と思い込む。
本来、好きな人と一生添い遂げたいから結婚するはずなのに、結婚が目的になっている。ブスも婚活女性も世間の目を気にしすぎです。
1日400回ブスと罵られた私が冷静になれたのは、当時、「おれはきみの顔が好きだから」と言ってくれる彼氏ができたから。容姿で大切なのは、“全国偏差値”ではなく、誰かのタイプに当てはまることだとわかり、必要以上に落ち込むことはやめました。恋愛することで自己評価が高くなり、自分のありのままの容姿を受け入れて前向きになれたんです。
すると、世間の評価も変わります。決して美人ではないのに人生がすごく楽しそうな人っていますよね。
「ブスだから〇〇できない」は間違っていて、本当は他の理由があるのに悩みの根を直視せず、容姿をいいわけにしているんです。
ブスを理由にしているうちは、負のブス・スパイラルから抜け出せません。世間の目を恐れず、いいわけを全部とっぱらう勇気を持てば、きっとブスから解放されると思います。
※女性セブン2015年9月3日号