中国では8月12日に発生した天津市の大規模爆発で、中国指導部は危険な化学薬品や有毒物質の管理強化を訴えている。ところが、その矢先に100kmほどしか離れていない山東省の化学工場や、河南省鄭州市と江蘇省蘇州市の化学工場で相次ぎ大規模な爆発や火災が起きるなど、中国の危険物の管理態勢のずさんさが改めて問題になっている。
これは中国全体の課題となっており、今年に入って、大規模な工場爆発が少なくとも18件起きていることが明らかになった。米政府系放送局「ボイス・オブ・アメリカ」が伝えた。
中国各紙によると、天津市では8月12日、経済技術開発区「浜海新区」でシアン化ナトリウム、硝酸アンモニウムなど約40種類、2500トンの危険化学物質が大量保管されていた倉庫で大爆発が起こり、消防隊員ら120人以上が死亡、約50人が行方不明で、入院して治療を受けている負傷者は640人に達している。
また、天津市の大規模爆発の10日後の22日夜、山東省の化学工場でも大規模な爆発があり、工場の従業員1人が死亡し9人が負傷し病院に搬送された。さらに、23、24、31日にも3件の工場で立て続けに爆発事故があった。
ボイス・オブ・アメリカが国際環境NGO(非政府機関)「グリーンピース」東アジア支部の情報として報じたところでは、中国ではこの山東省や天津の爆破事故を含めて、今年に入って四川省、湖南省、江蘇省、福建省などで17件の工場爆発事件が起こっている。7月には江蘇省南京市の化学品工場で爆発が発生し、近隣の3件の化学薬品の倉庫を巻き込んで10人以上が死傷する事故が起きている。
また、ボイス・オブ・アメリカによると、昨年1年間で少なくとも15件以上の工場爆発事故が発生しており、「天津の大爆発は氷山の一角にすぎない」とグリーンピースは警告しているという。
相次ぐ工場の爆発事故や健康被害事故などから、上海市郊外の金山区では今年6月、ポリエステル繊維の原料となるパラキシレン工場の建設に反対して、住民数千人が抗議デモを行い、警官隊と衝突。全国的にも、同様の民衆の抗議デモが多発している。
ネット上では、天津市の大爆発や山東省の爆発事故などを受けて、「政府の安全対策は形だけで、すべてが体面を装ったポーズにすぎない。政府も企業も人命を何とも思っていないから、大きな事故が連続して起きるのだ」との政府の対応などを批判する書き込みがされている。