「ゲームセンター」といえば若い男性が通う場所──そんな常識は今や過去のものとなりつつある。ゲームセンターのメダルゲーム機やパチンコのコーナーを覗けば、シニアたちが悠々とゲームを楽しむ姿をいくらでも見ることができる。
ゲームセンター業界大手のカプコンは、50歳以上の客を対象とした数多くのイベントを開催し、50歳以上なら誰でも入会できる『プレミアム会員制度』を設けた。そのほかシニア初心者を対象にゲームの無料体験やレクチャーを提供する「ゲームセンターツアー」も行なっている。
さらに同社ではシニア客に適切なサービスを提供できるよう、従業員に「サービス介助士」資格の取得を奨めている。サービス介助士とは、高齢の人や身体の不自由な人への正しい介助知識と技術を持つ人に与えられる資格で、すでに全店で27人の有資格者が勤務しているという。
これだけシニア向けのサービスが充実していても、まだ抵抗がある人は少なくないかもしれない。だが、ショッピングモールの中や住宅街の近くに新たにできたゲームセンターを中心に、家族連れが行きやすい、店内の照明も雰囲気も明るい店が増えている。
「かつてゲームセンターが薄暗かったのは、格闘ゲームのようなビデオゲームがメインで設置されていたから。こういうゲームは照明を暗めにしないと画面が見えづらいことが多く、そのために店内が暗くなりがちだったのです。
一方で、シニア向けのメダルゲームやパチンコ、スロットを増やすと、店内を暗くしなくてすむ。お店が明るいと、来店されるお客さまのマナーもよくなります」(大阪のゲームセンター経営者)
まだ残暑はつづく。暑さしのぎのために、フラリと店内を覗いてみても良いかもしれない。
※週刊ポスト2015年9月11日号