巨人がいまひとつピリッとしない。最大の原因は、何をおいても打線の不調にある。たとえば阿部慎之助(36)の不振があげられる。原辰徳監督をして「巨人は阿部のチーム」といわしめる大黒柱。今年は一塁へコンバート、打撃に専念することが期待された。
が、今や「打てない」「走れない」「守れない」の3ない選手。巨人低迷の象徴的存在だ。巨人OBの400勝投手・金田正一氏も、
「阿部の一塁コンバートが今季の諸悪の根源。捕手ができなくなったから一塁で、というほど野球は甘くありません」
と手厳しい。
「コンバートしたと思ったらまた戻すといった正捕手の混乱を起こしたこと以上に、阿部のマズイ一塁守備が投手の足を引っ張ったのが大きいな。怠慢プレーで敵の得点を許してしまった」(金田氏)
確かに阿部の守備を問題視する声は多い。ある40代のファンはこう嘆く。
「守備範囲は狭いし動きは遅いしでいいところがない。阿部の拙守で落とした試合は複数あるから、これだけペナントレースが接戦になった今、終盤で必ず響いてくる。こんな下手な一塁手を使うために、横浜にロペスをやってしまったかと思うと悔やんでも悔やみきれない」
しかも肝心のバッティングもダメ。得点圏打率は.227と低迷(※9月2日終了時点)。8月15日の中日戦では1死満塁のチャンスに代打で登場したが、あえなく二ゴロ併殺で、ファンはため息をついた。
阿部の打撃は何がダメになってしまったのか。
「太ももを痛めて復帰してから上半身に頼る手打ちになっている。故障上がりの選手特有の症状です。下半身が使えず上体だけで打とうとするから真ん中の球にも振り遅れる。これをやっている限り復活は難しい」(巨人OB・広野功氏)
※週刊ポスト2015年9月18日号