4年に1度の祭典・ラグビーW杯が9月18日に開幕する。これまで7大会に出場しながら、わずか1勝しか上げられていない日本代表を率いるのがエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)だ。『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」』(文藝春秋刊)を上梓した生島淳氏が、エディーについて語る。
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過去の歴史を振り返ってみると、日本代表がW杯で勝利を挙げたのは1991年の第2回大会、今は亡き知将・宿澤広朗氏に率いられたチームの1勝だけ。1995年にはオールブラックス相手に145点を奪われ、1980年代には人気スポーツだったラグビーの人気に大きな影を落とした。前回大会はかつてのオールブラックスのレジェンド、ジョン・カーワンを監督に迎えたが1分3敗に終わり、見せ場を作ることは出来なかった。
しかし2012年、サントリーを日本一に導いたエディー・ジョーンズがヘッドコーチ(HC)に就任すると、2013年にはウェールズ、2014年にイタリアを破って世界ランキングは史上最高の9位にまで上昇した。
エディー氏は1960年に豪州に生まれた。母が日系アメリカ人で、日本人のDNAを受け継いだことが日本ラグビーとの「縁」になった。2人の姉は建築家とデザイナー。姉弟全員がクリエイティブな仕事に就いたことを、
「コミュニティーに受け入れてもらうには、自分の力を証明する必要があります。姉たちはアート、私はスポーツへと関心が向きました」とエディー氏は振り返ったが、差別もゼロではなかっただろうし、彼にとっては、ラグビーで成功することが強力なモチベーションになったことは疑う余地はない。