国内

少年AのHP公開 露骨なまでの金目当てと作家・高山文彦氏

 神戸連続児童殺傷事件の犯人、元少年A。手記『絶歌』(太田出版)の出版騒動は記憶に新しいが、また大きな動きを見せた。8月29日、女性セブン宛に少年Aから手紙が届いたのである。手紙には、被害者への謝罪などはなく、自身のホームページを公開したことが書かれていた。これにはどんな狙いがあるのか…。

 この事件を取材し、『「少年A」14歳の肖像』を書き上げた作家・高山文彦氏に話を聞いた。

 * * *
 この手紙からは、Aが更生や謝罪の人生を、手記を綴る前からすでに捨てていたことがわかる。出版前のAには、見城徹の心を掴むということが自らのレゾンデートル(存在理由)になってしまっている。強い失望を感じました。

 手紙では、手記出版の経緯の真相を明かすために筆を執ったといいながら、その過程で被害者遺族についてどう考えていたのかという部分は一切書かれていません。むしろ“また世の中を騒がせてみせる”という野心が強くにじみ出ています。

『絶歌』では、一連の事件後に“酒鬼薔薇聖斗は消えた”と書いているけど、とんでもない。より卑しく、世俗にまみれて堕落しながら、その精神を発露させている。

 ホームページの立ち上げとその告知が全てを物語っています。“酒鬼薔薇教”の教祖になって、自分で自分を売りだそうということでしょう。ホームページが話題になれば、本がまた売れる。そうすればさらなる金が入る。手紙もホームページも、露骨なまでの金目当てだということです。

 Aは出所後の惨めな人生に絶望していましたから、もう不定期労働のような仕事は堪えられないのではないか。

 それに、この国では表現の自由が憲法で保障されている。あざとくもAはそのことがわかっている。手記を書こうとホームページを立ち上げようと、法的には何の問題もない。

 殺人者の表現の自由と、人としての倫理や遺族感情をどう天秤にかけるのか。Aのホームページはわれわれに大きな問題を問いかけています。

 もし今後、Aが自らの言葉を発信していくのであれば、せめて『絶歌』で書かれなかったことを明かしてほしい。少年院時代にどういった矯正プログラムを受け、どんな心理変化を経て退院したのか。性的サディズムをどう克服したのか。今のAには望むべくもない話ですが。

※女性セブン2015年9月24日号

関連記事

トピックス

すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
電話番号が「非表示」や海外からであれば警戒するが(写真提供/イメージマート)
着信表示に実在の警察署番号が出る特殊詐欺が急増 今後危惧されるAIを活用した巧妙な「なりすまし」の出現
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギの島・虐殺公判》口に約7cmのハサミを挿入、「ポキ」と骨が折れる音も…25歳・虐待男のスマホに残っていた「残忍すぎる動画の中身」
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
MajiでFukkiする5秒前(時事通信フォト)
2年ぶり地上波登場の広末涼子、女優復帰は「過激ドラマ」か 制作サイドも“いまの彼女ならなら受けるのでは”と期待、“演じることにかつてなく貪欲になっている”の声も
週刊ポスト
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
YouTubeでも人気を集めるトレバー・バウアー
【インタビュー】横浜DeNAベイスターズ、トレバー・バウアー「100マイルを投げて沢村賞を獲る」「YouTubeは第2の人生に向けての土台作り」
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
公開された中国「無印良品」の広告では金城武の近影が(Weiboより)
《金城武が4年ぶりに近影公開》白Tに青シャツ姿の佇まいに「まったく老けていない…」と中華圏のメディアで反響
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン