午前10時、池島保育園(大阪市港区)の園庭に子供たちの元気な声があふれると、大きな体にムクムクの毛並みの“保育士”が園舎から飛び出してくる。
こちらで男の子たちと駆けっこをしたかと思うと、今度は園庭の隅でベソをかいている女の子のホッペをペロリ。園庭のあちこちで、子供たちに囲まれているのが、“アン先生”だ。
「現在、園では95名のお子さんをお預かりしていて、私と先輩の保育士犬・サチの2匹、そして人間の保育士さんたちでみています」
大阪港の近くにあるこの保育園に犬の保育士がやって来たのは15年前のこと。初代のハルが亡くなって寂しがるサチのためにと、沖縄の宮古島から飛行機に乗って来たのが、アン。
「6年のキャリアを持つサチ先輩がしっかりしているから、私は比較的自由にお仕事できるんですよ」
園には障害のある子供も在籍しているが、誰が教えたわけでもないのにアンは体を低くしてそっと寄り添い、撫でやすいように配慮する。
「私たちと遊んでいると、子供たちの表情がどんどんよくなっていくって園長先生がおっしゃるのが、とても嬉しいですね」
卒園アルバムには毎年、子供たちと一緒の写真におさまる2匹。大人になっても、アルバムを開くたびにかわいくて優しい保育士犬のことを懐かしく思い出すことだろう。
【プロフィール】
名前:アン ♀
年齢:3歳
種類:犬(ゴールデンドゥードゥル)
勤務先:池島保育園
職種:保育士
主な仕事内容:人間の保育士と一緒に、子供たちと遊ぶ。
お給料: おやつにもらう骨。
好きなこと: ボール遊び。
嫌いなこと:園庭にある大型遊具の吊り橋が怖い。
現在の悩み:毎日が充実しているから、特になし!
将来の夢:ずっと池島保育園で同僚のサチと働いて、いつか名前を『ゴールデン保育園』に変えたい。
※女性セブン2015年9月24日号