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転落事故が続出した川崎の老人ホーム コスト重視経営の弊害

 川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で昨年11~12月にかけて、87歳男性、86歳女性、96歳女性が相次いで転落死した。現場となった「Sアミーユ川崎幸町」は、介護事業を幅広く手掛けている「メッセージグループ」の系列店である。高齢者住宅の相談を行なう田村明孝氏が語る。

「メッセージは1997年に居住系のグループホーム事業に進出し、『入居金ゼロ』を謳った老人ホームをウリとして急拡大、2004年にはジャスダック上場を果たしている。コスト重視で展開しているため、全国平均に比べて介護職員が少ないことが指摘されていました」

 Sアミーユはメッセージグループのなかでは高級だが、それでも月額22万円と、全国平均の約24万円を下回る。だが、コスト重視の弊害は大きかった。昨年まで同社の別施設で働いていた元職員が打ち明ける。

「会社はものすごい勢いで施設を増やし続けていて、本部の偉い人は『コンビニのような施設展開をしたい』といっていました。でも、ただでさえ介護業界は人手不足ですから、職員の採用と育成がまったく追いつかない。

 だから、サービスは現場に丸投げでケアが手薄になっていた。遊戯や体操のような行事もほとんどなく、『自立を促す』といった大義名分で一日中テレビを見せるだけということもよくありました」

※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号

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