自民党総裁選挙で無投票当選し長期政権の切符を得た安倍晋三首相。悲願とする安保法制の審議が佳境を迎えたが、実はもう一つの宿願があるといわれている。それが「アベノデノミ」だ。100円を新1円に切り下げることでドルとの交換レートを1桁台にし、通貨でも戦後レジームからの脱却を図るというものだ。GHQの占領政策で1ドル=360円に固定されたが、「3桁」の通貨は「三流国扱い」の象徴だったのだ。そしてこのデノミはマイナンバー制度の導入とも深く関わっているという。
財務省中堅A氏、経産省中堅B氏、外務省若手C氏、文部科学省若手D氏をメンバーとする本誌恒例の緊急覆面官僚座談会では、デノミと10月に通知されるマイナンバーに関連性があるとの話が出た。
経産B:財務省は与党が消費税10%への増税の際に導入すると合意していた食料品への「軽減税率」ではなく、突然、マイナンバーを利用して食品に払った消費税を還付する制度の創設を打ち出した。その狙いは国民の買い物の膨大なマイナンバーのデータを処理する「軽減ポイント蓄積センター」(整備費約3000億円)という新たな組織をつくって焼け太ることだとみていたが、その先があった。
デノミで通貨単位を変える場合、混乱を招かないように新札発行後、一定期間を過ぎると旧札を使えなくしなければならない。そうなると、麻生財務相が「880兆円も眠っている」という国民のタンス預金が交換のために銀行に集まる。
交換する際、マネーロンダリング防止のために戦後の新円切り換えの時のようにいったん口座に入金させるようにすれば、マイナンバーと合わせて個人のタンス預金まで把握できる。相続税など資産課税を強化している財務省にとって、デノミは課税のために非常に都合がいい。本当は財務省が総理にデノミを吹き込んでいるのでは。
財務A:(慌てて)それは勘ぐりすぎ。逆だよ。うちはデノミが消費税10%への引き上げを再延期する口実にされるんじゃないかと懸念して、情報を集めている。