「若い頃の飛びが戻った」──シニアゴルファーの間で、ルール度外視で飛距離を追求した高反発ドライバーが好調な売れ行きを見せている。それと同様に、いま注目が集まっているのが「高反発ボール」だ。
ゴルフ規則ではボールの重さ、大きさ、反発係数に規定があり、この“飛ぶボール”はルール不適合となっている。厳密にいえば“使ってはいけない”ボールだ。
ただそれは、各ゴルフ場の月例競技などの公式競技に出場する際の話である。近年は日本ゴルフ用品協会なども、「プライベートラウンドを楽しむうえでは問題ない」旨の声明を発表している。
現在はゴルフ専門誌でも特集が組まれ、専門店では特別コーナーが設置されるほどの人気。シニア層や女性層が顧客のメインだという。
中でも売れているのが、今年5月に発売されるや、爆買いするシニアゴルファーが続出したという『飛匠・レッドラベル極』(1ダース・3980円+税)だ。発売元のワークスゴルフが説明する。
「コアや表面カバーを改良することで反発係数を高めることに成功しました。当社のテストでは、初速が公認球より最大4m/秒、飛距離ではヘッドスピードが40m/秒の人で、最大38ヤードアップしました」
公認球の反発係数は0.8以下に規制されているが、このボールは0.825以上。飛距離は係数が0.01で10ヤード違うといわれるため、打ち方、クラブはそのままで25ヤード以上伸びる計算だ。
しかもヘッドスピードが40m/秒前後のゴルファーで最も効果が表われるようにセッティングされているので、ゴルフ人口の大半を占めるアマチュア、しかもヘッドスピードの落ちたシニア層が恩恵を受ける。
本誌60代記者が打ってみた。ドライバーよりアイアンの方が飛距離の差は歴然。2番手は変わった印象だ。20代の頃の飛距離が蘇って、セカンドでピンが狙える確率が高まったように感じる。なによりドライバーなどを買い替えるのは高価で手が出なくても、ボールだけなら手頃な価格で実感できるのが嬉しい。自信と元気を取り戻した気分だった。
高反発市場には各社もこぞって参戦中。『トブンダDYNAPLUS332』(ジャパーナ)や『ALISTAR Hi-COR』(二木ゴルフ)など、多種多様な商品が飛び出している。
シニアゴルファーには、ぶっ飛ぶ「実りの秋」が到来しそうである。
※週刊ポスト2015年10月9日号