警察庁によれば、DV被害は毎年増え続け、2014年は5万9072件と過去最多を記録した。その中で、男性の被害件数(女性が加害者)は約10%の5971件。割合としては1割だが、問題はその増加率だ。796件だった4年前に比べ、約7.5倍に増えている。
3年半、事実婚相手からDVを受け続けたアパレル会社勤務の40代男性・A氏。パートナーは同じ会社に勤めるバツ1子持ちのマドンナ的存在の女性で、彼女の持ち家に居候する形で事実婚をスタートさせた。
「彼女は“1日ビール2リットルがノルマ”と公言する酒豪で、同棲2か月目を過ぎたころから酔って帰宅すると言葉の暴力を浴びるようになった。“テメェー!! もっと生活費入れろ!”とか“この家、普通に借りたらいくらすると思ってんだ!”と。
終いには“テメーのアレじゃ気持ち良くねえんだよ!”と性的なことまで罵られた。しかも、その罵声は彼女が眠るまで続くんです」
1年ほど言葉のDVに耐えたA氏だが、DVはエスカレートする一方だった。
「途中から面倒くさくなって聞き流していたんです。すると“無視してんじゃねえよ!”と平手打ち。酔ってるから力の加減もできない。平手打ちされた後も床に押さえつけられてボコボコになるまで殴られ続け、体中、青タンやアザだらけに。分厚い月刊誌を投げつけられたこともありました」
辛い日々を過ごしながらも、A氏は被害を打ち明けることができなかった。
「彼女は仕事もできて同僚からの信頼も厚い。きっと職場の人に相談しても誰も信じてくれないと思ってました。実際、信頼できる上司に内緒で相談したら“ただ甘えてるだけじゃない? うらやましいよ”と茶化されるだけで、全く理解してもらえず絶望しました」
※週刊ポスト2015年10月9日号