国内

7000件の嘘クレームつけた女 近所の商店からは出入り禁止処分

 兵庫・伊丹市のあるアパートでは一昨年来、日常的にこんな奇妙な光景が──。

 ネクタイをしめた男性が緊張した面持ちで、コロッケが入った紙袋を抱えて玄関前までやってきた。すると、そこにはすでに先客がいた。ケーキの箱を持ち、困惑気味に立ちすくむ女性だ。しかし、その女性の視線の先にも、また別のスーツ男性が「申し訳ありませんでした」と謝りながら、アパートに住む中年女性にパンと商品券を差し出していた──。

「髪の毛が入っていたんです。新しいものを持ってくるか、返金してほしい」

 購入してもいないケーキなどに髪の毛が入っていたと嘘のクレームをつけ、新品や現金を騙し取った詐欺の疑いで、小野谷知子容疑者(45才)が逮捕された。今年2月以降の半年だけで、30都道府県の洋菓子店など約1200店に、約7000回も電話を入れていたようで、彼女のアパート周辺にはひっきりなしに品物を持った人が“謝罪”に訪れていたという。

「1年前までは母親と2人で暮らしていましたが、最近はひとり住まいだったようです。彼女が同様の容疑で逮捕されるのは今回で3度目。一昨年の秋以降から、ケーキだけではなく、クリームパン、食パン、ビーフコロッケ、クリームコロッケ、メンチカツなど、さまざまなものに異物が混入していたとクレームをつけ、交換の新品だけでなく、現金や商品券なども受け取っていました」(捜査関係者)

 彼女の“日課”は朝5時に始まる。携帯電話を持って風呂場にこもり、夜中までひたすら嘘のクレーム電話をかけ続ける声を、近所の住民は毎日聞いていた。

 最初は丁寧な口調で、相手が返金すると応じると、さらに「じゃあ新品と、できれば他の商品も持ってきて」とたたみかける。相手が拒否すると、すぐに電話を切るか、荒い言葉で怒号を飛ばすのだという。

「郵便局の配達員が現金書留を多いときは朝、昼、夕の1日3回も運んできていた。家の前で商品を持った飲食店や食品メーカーの人が“行列”を作ることもしばしば。ある時、生の冷凍コロッケを持ってきた男性が“ウチには油がないから揚げられない。お金にしてほしい”と追い返され、“だったら、なぜウチの商品に髪の毛が入っていることがわかったんだ”と頭を抱えていました」(近所の住民)

 彼女の偽クレームは電話だけではなかったようだ。

「近隣のスーパーでは“店内で転んで服が破れた”などといちゃもんをつけ、修理代名目でお金を受け取っていた。商品へのクレームも多かったので、近所の商店は彼女を入店禁止にしていた」(別の近所の住民)

 元大阪府警刑事で、クレーム対応コンサルタントの援川聡氏が言う。

「飲食物への異物混入クレームはこの十数年で倍以上になっています。最近では、“野菜に虫がついていた”“種なしぶどうなのに種が入っていた”“骨なし切り身魚なのに骨があった”など、以前ではクレームにならなかったことも増えています。お客様第一とはいえ、なんでもかんでもの返品では店側も大変。特に40代の主婦にそうしたクレームをつける人が多い印象です」

※女性セブン2015年10月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2023年12月に亡くなった八代亜紀さん
《没後1年のトラブル勃発》八代亜紀さん、“私的写真”が許可なく流出する危機 追悼CDの特典として頒布予告、手がけるレコード会社を直撃
女性セブン
渡米した小室圭氏(右)と眞子さん(写真/共同通信社)
「さすがにゆったりすぎる…」眞子さんが小室圭さんとの買い物で着ていたロングコートは5万6000円の北欧の高級ブランド「通販で間違えて買った」可能性
NEWSポストセブン
おもてなし計画を立てる大谷翔平(写真/アフロ)
【メジャー開幕戦】大谷翔平、日本凱旋でチームメートをおもてなし計画 選手の家族も参加する“チームディナー”に懇意にしているシェフを招へいか、おすすめスポットのアドバイスも
女性セブン
今も多くの人々の心に刻まれているテレサ・テンさん
【没後30年・秘話発掘】「永遠の憧れ」テレサ・テンさん 小林幸子、片岡鶴太郎らが語った「彼女だけの歌声」「今も歌い継がれる理由」
週刊ポスト
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・知人提供)
「顔中血まみれ、白目で、あまりに酷くて…」女性ライバー“最上あい”さん(22)の“事件動画”の目撃証言と“金銭トラブル”の判決記録【東京・高田馬場で刺殺事件】
NEWSポストセブン
巨人の阿部慎之助・監督の手腕が問われている(時事通信フォト)
巨人・阿部監督、当初のチーム構想が二転三転 “新継投プラン”に疑問の声で「大勢にクローザーを任すべき」との指摘も
NEWSポストセブン
4月クールドラマでも主演を務める橋本環奈
橋本環奈、パワハラ報道で考えるマネジャーのあり方 令和の今こそ知っておきたい、松田聖子のブレイクを支えた事務所社長が実践した「個性は周りが育てる」の考え
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(右・知人提供)
《女性ライバー“最上あい”刺殺》「200万円を超える額を貸している」「消費者金融から借金した」高野健一容疑者(42)が供述する被害者・佐藤愛里さん(22)との“金銭トラブル”
NEWSポストセブン
49歳で出産した女優・小松みゆき
49歳で出産した女優・小松みゆき 娘が、母の若い時の写真集を見たいと言い出したら…?「いいよ、と見せます」
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され心肺停止となる事件が起きた(左・Xより)
生配信中に刺された女性ライバー “最上あい” さん(22)は「最高ランク・プラチナプラス」の人気者 事件前日に話した知人が証言「優しくて思いやりがある子だった」
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され心肺停止となる事件が起きた(左・Xより)
《衝撃の現場目撃証言》「ギャーッ! 助けて!!」「男が女性をバンバン蹴っ飛ばしていた」“最上あい”名義の人気女性ライバー(22)を男が刺殺 東京・高田馬場
NEWSポストセブン
19才の誕生日に成年式が開催される悠仁さま
悠仁さま「成年式」は異例の“19才の誕生日に開催”、詳細は“発表がない状態”の不安 進学先の筑波大学の受け入れ体制、小室眞子さんとの関係も難題に
女性セブン