警察庁によれば、DV被害は毎年増え続け、2014年は5万9072件と過去最多を記録した。その中で、男性の被害件数(女性が加害者)は約10%の5971件。割合としては1割だが、問題はその増加率だ。796件だった4年前に比べ、約7.5倍に増えている。離婚問題に詳しい田村勇人弁護士が語る。
「男性に比べると、女性は仕事もできる優秀な人間がDVに至るケースが多い。
ずっと勝ち組で思い通りの人生を歩んできた人のように見えますが、私生活の部分ではそうではなく、妥協して結婚してみると自分の思い通りにならず、暴力を振るうという傾向はあります。また経済力が夫よりある場合、その傾向がさらに強まりがちです」
体に異変をきたすケースも少なくない。都内に住む50代会社員・A氏は犬の散歩の際、妻に「12時には帰るから」と伝えて出かけた。しかし、途中で友人と話し込んでしまい、帰宅が30分遅れてしまったという。
「妻は“何で遅れるんだ!?”とカンカン。何度も頭を下げたんですが収まらず、ついには“頭に来た! 一発殴らせろ!”と言い出し、“えっ?”って思った瞬間、私のメガネは吹き飛んだ。グーで思いっきりパンチされていました。
以来、トラウマになってしまい、家の扉を開けるのも怖くなってしまった。それまで一度も歯医者にかかったことがなかったのに、その直後から急に歯が痛みだした。歯医者で診察してもらうと、“歯ぎしりで犬歯が真っ平らになっている。どんなにすごいストレスを抱えているんですか?”と言われた」
結局、A氏はストレスに悩まされ続け、心身が耐えきれなくなり、別れる決意をしたが、離婚が成立するまでには膨大な時間を要したという。家族問題コンサルタント・池内ひろ美氏もこう話す。
「過去に相談を受けたケースでは、奥さんの暴力によって網膜剥離になったり、背骨がずれたという例もある。10年以上前につけられた傷がみみず腫れのように残っている男性もいた」
※週刊ポスト2015年10月9日号