国際情報

ロッテお家騒動 韓国メディアの在日韓国人差別がむき出しに

 様々な歴史的背景によって海を渡ってやってきた在日韓国人から、戦後多くの傑物が生まれた。芸能人、スポーツ選手、経営者。しかし、祖国・韓国が、彼らを眺める視線は、決して温かいものではなかった。在日三世のジャーナリスト・李策氏がレポートする。

 * * *
 この夏、韓国経済界を騒然とさせたロッテグループ創業家の経営権争い(*注)。在日韓国人1世で創業者の父・重光武雄(辛格浩)氏を味方につけた長男・宏之(辛東主)氏と、経営陣の支持を受けた次男・昭夫(辛東彬)氏の対立は、8月中旬の株主総会の場で後者に軍配が上がった。騒動は韓国における財閥企業の閉鎖的な体質問題に飛び火しており、しばらくは余韻を残しそうだ。

【*注/日韓にまたがる大企業であるロッテは。父・重光武雄氏の手綱のもと、日本のロッテを長男の宏之氏が、韓国ロッテを次男・昭夫氏がトップとして運営していた。しかし、90歳を超える武雄氏の影響力が徐々に失われるなか、事業規模の大きい韓国ロッテの昭夫氏が経営実権を握っていく。父と長男は経営権を取り戻そうとしたが、今年8月の株主総会で昭夫氏が支持を受け、父と長男は経営陣から外された】

 その一方、ことの成り行きを見守ってきた少なからぬ在日韓国人の胸に、この騒動が複雑な思いを残したことを知る人は少ない。在日本大韓民国民団(民団)の関係者が憤りも露わに語る。

「韓国マスコミの報道にはあきれ果てました。在日同胞に対する無理解、歴史に対する無教養が露呈した」

 この間、韓国のメディアにはロッテグループと、創業家の人々を揶揄する報道があふれた。とりわけ在日韓国人を刺激したのが、宏之・昭夫兄弟の韓国語に関する報道だ。

「両氏は幼少から成人するまでのほとんどを日本で過ごし、母国語と接する機会はないに等しかった。日本中に民族学校をつくった北朝鮮に比べ、韓国政府が在外国民の母国語教育に不熱心であるという背景もあります」(前出・民団関係者)

 それなのに、宏之氏が日本語でインタビューに答えると、「財閥企業の経営者が韓国語も話せないのか」との非難めいた指摘が噴出したのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村容疑者のSNSにはさmざまな写真が公開されている
「死者のことを真摯に思って反省しているとはいいがたい」田村瑠奈被告の父に“猶予つき判決”も、札幌地裁は証拠隠滅の可能性を指摘【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・Xより)
〈オレも愛里なしじゃ生きていけない〉高田馬場刺殺事件・人気ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の“親密LINE”《裁判資料にあったスクリーンショット》
NEWSポストセブン
体調不良を理由に休養することになったダウンタウンの浜田雅功
《働きづめだった浜田雅功》限界だと見かねた周囲からの“強制”で休養決断か「松本人志が活動再開したときに、フル回転で働きたいからこそ」いましかないタイミング
女性セブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・Xより)
《生々しい裁判記録》「3万円返済後に連絡が取れなくなった」女性ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の出会いから金銭トラブルまでの全真相【高田馬場刺殺事件】
NEWSポストセブン
亀井京子アナが福祉業界にチャレンジ
亀井京子アナが語った「社会福祉業界への新たなチャレンジ」子育てに区切りで気づいた“自分の原点”、過去には「テレ東再就職プラン」も
NEWSポストセブン
渡米した小室圭氏(右)と眞子さん(写真/共同通信社)
「さすがにゆったりすぎる…」眞子さんが小室圭さんとの買い物で着ていたロングコートは5万6000円の北欧の高級ブランド「通販で間違えて買った」可能性
NEWSポストセブン
2023年12月に亡くなった八代亜紀さん
《没後1年のトラブル勃発》八代亜紀さん、“私的写真”が許可なく流出する危機 追悼CDの特典として頒布予告、手がけるレコード会社を直撃
女性セブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・知人提供)
「顔中血まみれ、白目で、あまりに酷くて…」女性ライバー“最上あい”さん(22)の“事件動画”の目撃証言と“金銭トラブル”の判決記録【東京・高田馬場で刺殺事件】
NEWSポストセブン
おもてなし計画を立てる大谷翔平(写真/アフロ)
【メジャー開幕戦】大谷翔平、日本凱旋でチームメートをおもてなし計画 選手の家族も参加する“チームディナー”に懇意にしているシェフを招へいか、おすすめスポットのアドバイスも
女性セブン
今も多くの人々の心に刻まれているテレサ・テンさん
【没後30年・秘話発掘】「永遠の憧れ」テレサ・テンさん 小林幸子、片岡鶴太郎らが語った「彼女だけの歌声」「今も歌い継がれる理由」
週刊ポスト
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(右・知人提供)
《女性ライバー“最上あい”刺殺》「200万円を超える額を貸している」「消費者金融から借金した」高野健一容疑者(42)が供述する被害者・佐藤愛里さん(22)との“金銭トラブル”
NEWSポストセブン
49歳で出産した女優・小松みゆき
49歳で出産した女優・小松みゆき 娘が、母の若い時の写真集を見たいと言い出したら…?「いいよ、と見せます」
NEWSポストセブン