阪神タイガースは今年で球団創設80周年を迎えた。その80年の歴史の中でも阪神ファンの印象にとりわけ強く印象に残っているのが、1985年の「バックスクリーン3連発」だ。伝説の3連発を打った3人のうちの1人である岡田彰布氏が、3連発について振り返る。
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1985年の日本一を振り返る時、象徴的なシーンとして登場するのが「バックスクリーン3連発」だと思う。これがあるから世間では阪神がぶっちぎりで優勝したぐらいに思われている。でもあれはまだ開幕から4試合目。その時は優勝なんかまったく意識してなかったわ。
バックスクリーン3連発は狙って打ったとかいわれる。でもホームランだけならまだしも、バックスクリーン目がけてなんて狙って打てるもんやないよ。あの時にホームランを狙っていたら引っ張ってレフトスタンドに入っていたやろな。むしろ何も考えずに打ったから、センター方向へのホームランになったんちゃうかな。ただ手応えはあったね。打った瞬間、(スタンドまで)行ったと思った。
打った球はスライダー。槙原(寛己)は右バッターにはスライダーが多かったから、狙い球は絞っていた。前を打っていたバースとカケさん(掛布雅之)への攻め方や配球はシーズン中もほとんど参考にしてなかった。2人は左バッターやし、打った球もストレートやったしね。
カケさんは前日に1号を打っていたけど、オレもバースもまだ打ってなかった。さっきホームランは狙ってなかったというたけど、バースが打って、カケさんが打った時は、取り残されたくないから「オレも打ちたい」と思ったのは事実やね。
バースの1発が逆転3ランで、球場全体がイケイケやったしな。阪神の球団記録としてはすでに4者連続ホームラン(中村勝広、掛布雅之、ラインバック、田淵幸一=1976年)があったわけで、3連発より、その年の第1号が出たことの方が嬉しかったね。
ちなみにカケさんの打球は厳密にいうとバックスクリーンの左側の通路に入った。何かに当たってバックスクリーンにボールが跳ねたみたいやけどな(笑い)。
【プロフィール】岡田彰布(おかだ・あきのぶ):1957年、大阪府生まれ。早大卒業後、1979年ドラフト1位で阪神に入団。1980年代の中軸打者として活躍する。引退後は阪神、オリックスの監督・コーチを歴任。
※週刊ポスト2015年10月16・23日号