ラグビーW杯でアメリカを破り、有終の美を飾った日本代表。その戦いぶりは、国内外に衝撃を与えた。
予選プールBに入った日本は、初戦で過去2度のW杯優勝を誇る南アフリカを接戦の末撃破。続くスコットランドには敗れたものの、サモア、アメリカと連勝した。通算3勝1敗の好成績を収めたにもかかわらず、勝ち点の差で決勝トーナメントに出場できなかったのはW杯史上初だ。13日、凱旋帰国した空港では拍手が鳴り止まなかった。
世界中からも日本代表の健闘を賞賛する声が止まらない。開催国・イギリスでは、「大きな体格同士の闘いになりがちなラグビーだが、日本は技術で補える余地があることを知らしめた」(ガーディアン紙)、「日本の息をつかせぬラグビーは新たなファンを獲得した」(インディペンデント紙)、「最も不運で最も勇敢なチーム」(デイリー・テレグラフ紙)など、ほとんどの新聞が日本を讃えた。
日本代表キャップ数30、“W杯で挙げた唯一の勝ち星”といわれた1991年ジンバブエ戦のメンバーだった大八木淳史氏は、「日本代表は本当に強くなっている」と目を細めた。ラグビー批評家の中尾亘孝氏はこう賞賛する。
「この3勝にはベスト8と同等の価値があると思います。今大会へ向けた4年間に、世界で一番ハードな練習量をこなして結果を出した。文句なしの快挙です」
ラグビージャーナリストの村上晃一氏も絶賛。
「正直、サモア、アメリカに2勝はしても、南アフリカとスコットランドに勝つのは難しいと思っていた。3勝したことは日本ラグビーの歴史に残る」
キックの前の「ルーティーン」が話題になり、アメリカ戦ではマン・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)に選出されたFB(フルバック)の五郎丸歩(29)の言葉がまた、ファンの涙を誘う。
「世界のラグビーファン、そして日本国民の期待に応えたこのチームを心から誇りに思う」
※週刊ポスト2015年10月30日号