一連の分裂騒動で、六代目山口組(山口組)と神戸山口組は全国各地で小競り合いを繰り返している。事態は今後どう推移していくのか。暴力団事情に詳しいフリーライター・鈴木智彦氏がレポートする。
* * *
10月17日深夜、弘道会の幹部数名が、名古屋市千種区にある山健組系事務所に現われ、玄関先のインターホンを破壊した。その際、山健組からの反応はなかったが、午前2時過ぎ、再度弘道会側が訪れた際には、金属バットを持った山健組関係者らが弘道会幹部を取り押さえ、頭部を殴る蹴るなどする傷害事件となった。
のち山健組関係者2人が傷害容疑、弘道会高山組組長ら7人が器物損壊容疑で逮捕された。
「子供の喧嘩のような事態で、本来ならさほど問題にはされない。愛知県警も抗争に発展する可能性は低いとみている。しかし、名古屋という六代目のお膝元で直接ぶつかり会い、弘道会の中核である高山組の三代目が逮捕された。山口組にとっては、このままでは他団体に対して示しが付かない」(弘道会関係者)
暴力団のメンツの重さを考えれば、軽く流せる事態ではない。
昨年のハロウィンで、約800袋の菓子袋を近隣の子供たちに配った山口組は、今年、本部裏のガレージ横に中止の看板を掲げた。
「楽しみにして頂いて居りました御子様方には大変残念な思いをさせますが来年は必ず開催いたしますので、楽しみにしていて下さい」
ひどく優しい文章は、分裂問題を1年以内に解決するという宣言でもある。山口組が「Trick or Treat(悪戯かもてなしか)」と最後通告する日は近いのかもしれない。
※週刊ポスト2015年11月6日号