中国の今年9月末の外貨準備高が昨年6月に比べて、約5000億ドルも激減していたことが分かった。特に、今年5月から9月まで連続5か月間も減少し続けており、これまでにない異常な動きを示しているという。この理由について、中国共産党機関紙「人民日報」は「米ドルに連動して、人民元の価値を調整した結果」であることを明らかにした。
同紙によると、中国の外貨準備高は2012年末には3兆3100億ドルで、2013年末は3兆8200億ドルと約5000億ドル増加したが、昨年末には3兆8400億ドルと前年比微増だった。
最も外貨準備高が多かったのが昨年6月の3兆9932億ドルと、もう少しで4兆ドルの大台に達するところだった。
その後、微増や微減を繰り返しながら、今年に入って、5月からずっと減少し続け、5か月後の9月末には3兆5141億ドルと2012年末の水準まで近づいた。特に、今年8月末には1か月で939億ドルと最大の下げ幅を記録したという。
この結果、外貨準備高は最も多かった昨年6月に比べて、今年9月には5000億ドル近い4791億ドルも減少したことになる。
同紙は、なぜ外貨準備高は減少に転じたのか、その理由について、「外貨準備高の減少はさまざまな多重要素の総合作用の結果だ」として、具体的には中央銀行である中国人民銀行の外貨市場操作や他の外貨との価格変動、あるいはドルと人民元のレートの調整などが考えられる」などと分析している。
これについて、米財務省は10月中旬に発表した国際経済や各国の為替政策に関する半期に1度の報告書のなかで、「中国が景気減速に伴う人民元の下落を阻止するため、7~9月に計2290億ドル(約27兆3500億円)の大規模な市場介入をした」とする推計を明らかにした。
また、報告書は「中国の為替介入は6月末まで目立った動きをみせていなかったものの、中国人民銀行は7月から9月までの3か月間で、外貨を売って人民元を買う大規模な介入を実施した」と指摘している。
推計介入額の内訳は、7月が500億ドル、8月が1360億ドル、9月が430億ドルとしており、中国側の統計とは食い違っているが、報告書は人民元については「中期的には適切な水準よりも割安なままだ」と分析している。