年末に向けて大掃除の計画を立てる頃になってきた。風水上、大掃除をする上でいくつかポイントがあると語るのは風水建築デザイナーの直居由美里さん。運をつかむ掃除のコツを聞いた。
* * *
お正月を迎える前の煤払いは、平安時代から行われていました。かまどに薪をくべ、ロウソクの灯りで夜を過ごしていた頃は、室内に煤がたくさん溜まったのでしょう。江戸時代になり、江戸城の煤払い日が12月13日となり、庶民の家でも同じ日に行われるようになりました。
新年を迎える前の掃除というだけでなく、年神を迎えるための信仰行事としての意味もあります。巨大な仏像をほうきで払うシーンは、年末の風物詩としてテレビや新聞で報道されます。
お寺や神社では、一年間、無事に過ごせたことを感謝しながら煤払いを行います。仏陀の弟子の1人である周利槃特は、記憶力が悪く、お経を覚えることができませんでした。仏陀は、周利槃特にほうきを与え、「塵を払い、垢を除かん」という一句だけを教えました。その後、何十年もの間、この句を唱えながら一心に掃除をしたことで、周利槃特は悟りを開いたのです。
掃除は面倒なもの、できたら手を抜きたいと考えている人も多いことでしょうが、家をきれいにするということは、家族の開運につながります。特に、運気が大きく切り替わる年末の掃除はホコリやチリだけでなく、邪気を一掃したいものです。
毎日こまめに掃除をしていれば、年末だからといって特別な掃除は必要ないはずですが、日常的に掃除ができない箇所も家の中にはたくさんあります。そうしたところを意識してきれいにしましょう。
たとえば、照明の傘。いくら明るい電灯にしても、傘にホコリが溜まっていては、邪気の下で暮らしているようなものです。カーテンレールやドア、ふすまの上も、ホコリが溜まりやすい場所です。
観葉植物は、部屋の気を浄化する働きがあるので風水的には吉ですが、葉にホコリが溜まっていては逆効果です。柔らかい布で葉をはさんで、やさしく拭き取ってください。
ドアノブ、引き出しの取っ手、インターホンや電気スイッチのプレートなどは毎日手が触れるものですから、相当汚れているものです。また、テレビや家具の裏側、籐製の家具にもホコリが溜まりがちです。床に掃除機をかけるついでに、きれいにしておきましょう。
キッチンも大掃除で手が回りにくい箇所です。年末はクリスマスやお節作りに大忙しというご家庭では、料理しながら大掃除というわけにもいきません。11月のうちに手の付けられるところから徐々に掃除しておきましょう。
換気扇やガスレンジは、パーツを外して洗うとすっきりします。油汚れ専用の洗剤や重曹を溶かし込んだお湯につけておくと、汚れがゆるんで落としやすくなります。
汚れたままの換気扇を使い続けていると、気の流れが滞ってしまい、調理する人の精神状態にもマイナスの影響を及ぼします。年末の前に換気扇をすっきりさせ、気の通りをスムーズにしておきたいものです。
毎日暮らす家は、ホテルや旅館と違い、ここまで掃除すれば完璧ということはありません。だからといってあきらめるのではなく、できるところから始めましょう。
※女性セブン2015年11月26日号