韓国が5年後、GDPで日本に並び、追い抜く──11月5日、中央日報など韓国の主要メディアが驚きのニュースを一斉に報じた。
韓国メディアが“ネタ元”にしたのは、“通貨の番人”と呼ばれるIMF(国際通貨基金)が10月に発表した「世界経済見通し」と題されたデータベース。その中でIMFは、2015年の韓国の国民1人当たりGDP(国内総生産)約2万7500ドル(336万円)が、2020年には約3万6700ドル(448万円)の31%増になると予測。
一方、日本の2015年の同GDPは約3万2500ドル(397万円)、2020年には約3万8200ドル(466万円)の18%増にとどまるとした。
この数字だけを見れば、日韓のGDPは5年後にほぼ同水準になる。だが、最大財閥サムスンの凋落をはじめ、韓国の大手企業の国際格付けは軒並み下がっている。そんな韓国経済がわずか5年で日本に肉薄できるのだろうか。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部研究員の野田麻里子氏が解説する。
「この数値の算定に大きな影響を与えているのが、日韓の実質GDP成長率の見通しです。IMFは日本の2015~2020年の成長率を年平均0.7%と見ているのに対し、韓国は約5倍の3.4%。特に2017年以降、韓国は毎年3.6%の成長が続くと予想しています。
この成長率は、韓国の潜在成長率が根拠になっているのですが、IMFの見積もりは楽観的ではないかと思います。実際、急速な少子高齢化やそれに伴う生産年齢人口の減少、国内消費の減速などが要因で韓国の成長率は下落を続けているのが現実です」
韓国の潜在成長率は、1987年の民主化以降の急激な成長が加味されたもので、実体経済を反映したものではない。