フランス・パリの中心部で起きた同時多発テロ。一版市民や観光客など120人以上が犠牲になった無差別テロの恐怖は世界中に広がっている。
フランス政府は、声明を出しているイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国(IS)」による犯行と断定。「シリアのイスラム国拠点を空爆したことに対する報復ではないか」との見方も広がっている。
だが、「もはや過激派テロ組織のターゲットは欧米だけにとどまらず、日本が狙われてもおかしくない」と指摘するのは、青森中央学院大学教授で、国際テロリズム研究を専攻する大泉光一氏だ。同氏が日本の脆弱な危機管理体制に警鐘を鳴らす。
――今年は湯川遥菜さん、後藤健二がイスラム国によって拘束され、殺害される事件も起きた。日本人が過激派集団に狙われるリスクは高まっている。
大泉:安倍首相の中東訪問によるイスラム国対策費の支援表明に続き、湯川さん、後藤さんが殺害された後に「テロには屈しない」というメッセージを世界中に発信したことで、日本人が過激派テロ組織に命を狙われる危険レベルは、欧米人と何ら変わらなくなっています。
イスラム国は中東地域にいる日本人のみならず、インドネシアやマレーシアなどイスラム教徒が多い国の支持者を使い、日本の大使館を攻撃するよう呼びかけているとの報道もありました。東南アジアは日本からの進出企業も多く、家族とともに暮らす駐在員もたくさんいます。そういう意味では日本人が標的になる危険性は世界中に広がりつつあります。
――フランスの惨事ように、日本国内で大規模なテロが発生する可能性もあるか。
大泉:もちろん可能性は十分にあります。日本には過激思想を持つイスラム教徒の不法滞在者もいますし、ネットの勧誘に賛同してテロに参加したいと思う日本人の若者が出てきても不思議はありません。
もちろん、日本ではフランスのテロで使われたようなカラシニコフ型の自動小銃など銃火器を入手するのは困難ですが、爆発物を製造するのに転用可能な薬物は容易に調達できます。こうした爆発物を大量にトラックに積んで建物に突っ込まれたら、ひとたまりもありません。