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認知症の予防策は早歩きと知的活動 習慣的なコーヒーも有効

 高齢化の一途をたどる日本社会。誰もが認知症のリスクに直面することになるわけだが、そんななかNHKスペシャル『シリーズ認知症革命』が大きな話題になっている。

「ついにわかった! 予防への道」と銘打たれた第1回放送(11月14日)では、いったん発症すると治療は困難で、投薬によって進行を遅らせることしかできない認知症が、早期診断により、未然に「予防」することが可能であると明らかにされた。

 その認知症予防の重要なカギを握るのが、「MCI(軽度認知障害)」だ。MCIとは、脳の認知機能が低下しているが、認知症のレベルには至っていない状態のこと。この段階で早期に対策できれば、認知症の進行を防ぐことができるのだ。

 では、MCIと診断されたらどうすればいいのか。前出のNHKスペシャルで大きく取り上げられていた予防策は「早歩き」という、驚くほど簡単なものだった。番組にも登場していた、認知症予防の第一人者で、日本認知症予防学会理事長の浦上克哉鳥取大学医学部教授が解説する。

「『脳内ネットワーク』が弱る一因は、脳内の細い血管が壊れて、微小出血を起こすことにあります。そこで、脳内の血管を強くすることが、認知症の発症を防ぎます。ウオーキングなどの有酸素運動を1日30分、週3~4回行ってください。遅く歩くと効果がないので、散歩よりもややキツく感じ、少し息が上がるぐらいの早足がいいでしょう。そうすると、脳内で傷ついた血管の代わりに、新しい血管が作られるように促され、さらに新しい神経細胞のシナプスも生み出されるので、一度衰えた『脳内ネットワーク』を強化することができるのです」

 効果はそれだけではない。認知症のなかで最も多い「アルツハイマー型認知症」は脳内に特殊なたんぱく質(アミロイドβペプチド)が蓄積して発症するとされる。有酸素運動はこのたんぱく質の蓄積を防ぎ、脳内で記憶をつかさどる海馬の働きを活性化する効果があるとされる。

「付け加えるなら、認知症予防のポイントはもう2つあります。1つは食事。脂っこいもの、塩分の強いものは控え、青魚や野菜、果物を積極的に摂取しましょう。もう1つは知的活動です。パズルや折り紙、麻雀や囲碁、将棋などがいい。ひとりでやるより、大人数でワイワイと楽しんでやることも『脳内ネットワーク』によい影響を与えます」(前出・浦上教授)

 最近では意外な嗜好品が、認知症予防に有効という報告もある。イタリアのバーリ大学などの研究チームが今年7月に発表したところによると、習慣的にコーヒーを飲む人は飲まない人と比べ、MCIになりにくかった。コーヒーを飲まない人に比べ、発症リスクが1日1杯で半分、1日1~2杯だと3分の1まで減少したという。

※女性セブン2015年12月3日号

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