国内

9つのストーカー対策 スマホ解約やメアド変更は逆効果に

ストーカー対策9か条(Ph:Thinkstock/Getty Images)

 1999年10月26日、埼玉県の桶川駅前で当時21才の女子大生が、元交際相手とその兄が雇った男によって殺害された。被害者は執拗なストーカー行為を受け、周囲に恐怖を打ち明けながら、殺害される当日朝まで、ひとり大学に通い続けた。

 この事件を受けて2000年に施行されたのが、通称“ストーカー規制法”。それからこの11月で丸15年、ストーカー事案の認知件数は約10倍に増え、昨年は2万2823件に。さらに、ストーカーの約6割が元夫や交際相手であるという調査もある。身近な存在だった人が豹変するのだ。

 誰もがいつ被害者になるかもしれないこの社会で、いかに自分と自分の大切な人の命を守るか。まずは、きっぱり断ること。そして、それでも繰り返し連絡をしてくる場合には、第三者に相談することも視野に入れる必要があるという。

 ストーカーへの具体的な9つの対策を専門家に聞いた。

<対策1>1度断ったら連絡はとらない

 交際や復縁を迫られたら、まずはあなた自身がしっかり断ること。そしてその後は一切、返信しない。これがいちばん大切。NPO法人ヒューマニティ理事長・小早川明子さんはこう解説する。「この時、必ずメールでも対応を。“別れの言葉を送った”という証拠を残しておきましょう。ストーカー行為が悪化した際、すぐ警察などに動いてもらうために有効です」。

 スマホを解約したり、メールアドレスを変更しがちだが、それは絶対にしないこと。連絡がとれなくなると、加害者は家や職場にやってくる傾向にあるからだ。また、借金やプレゼント、相手の荷物は、返しておこう。

<対策2>ストーカー被害の証拠を集める

 ストーカーの相談には警察も乗ってくれるが、逮捕も視野に入れた対応をしてもらうには、証拠が必要となる。弁護士の金秀香さんは、「ストーカーとして告訴したいなら『ストーカー規制法』に則した証拠をそろえて、告訴状とともに警察に提出する必要があります」といいます。

 例えば、メールならばプリントアウトしたり、スクリーンショットで保存をすること。証拠の種類によっては、ストーカー規制法以外の脅迫罪や傷害罪など、別の罪で逮捕ができたり、名誉毀損で訴えることも可能になる。

<対策3>なるべく周囲に相談、協力態勢をつくる

 警察、弁護士、自治体の女性センター、NPO、親や会社の上司など多くの第三者に協力を求め、周囲への監視を強化する。

<対策4>第三者から警告してもらう

 弁護士や警察などの第三者が警告することで、「そんなに嫌がられていたのか」と冷静さを取り戻し、あきらめることが多い。

<対策5>最悪を想定し逃げ場所を確保

 各都道府県に必ずある女性専用のシェルターやホテルなど、安全な場所を警察が教えてくれるので、聞いて準備をしておく。友人宅や実家に頼ると逆恨みされ、彼らも被害にあう可能性があるのでおすすめしない。

<対策6>ストーカーにカウンセリングをうけてもらう

 NPOなどで行われているカウンセリングや更生プログラムを受けてもらう。

 8割がこの対策で諦める。しかし、攻撃が深刻化して、脅しなどが始まってしまったら、対策7以降に移るべきだ。

<対策7>被害届や告訴状を提出。逮捕してもらう

 対策6までやってもあきらめないケースはかなり危険。被害届または告訴状を警察に提出し、いつでも逮捕してもらえるよう準備を。逮捕してもらうと加害者は留置され、最低でも48時間の猶予ができる。「その間に逃げることもできます。身の危険を感じたら、迷わず100番を」(警視庁ストーカー対策室)。

<対策8>シェルターなどに逃げる。場合によっては家族も一緒に

 シェルターは短期のもので2週間程度保護してくれる。基本的に有料だが、自治体が運営しているものは格安のことが多い。「家族も巻き添えになるケースがあるため、一緒に逃げることも考えて」(警視庁ストーカー対策室)。

<対策9>ストーカー専門の病院に13週間入院して治療させる

「『殺す』と言われたなど、かなり危険な状態にある場合、加害者に専門病院での治療を促します。NPOが加害者に接触して説得します」(小早川さん)。加害者が入院することになれば、その間に生活を立て直せる。

※女性セブン2015年12月3日号

関連キーワード

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【被害女性Aさんが胸中告白】フジテレビ第三者委の調査結果にコメント「ほっとしたというのが正直な気持ち」「初めて知った事実も多い」
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
記者会見を行ったフジテレビ(時事通信フォト)
《中居正広氏の女性トラブル騒動》第三者委員会が報告書に克明に記したフジテレビの“置き去り体質” 10年前にも同様事例「ズボンと下着を脱ぎ、下半身を露出…」
NEWSポストセブン
回顧録を上梓した元公安調査庁長官の緒方重威氏
元公安調査庁長官が明かす、幻の“昭和天皇暗殺計画” 桐島聡が所属した東アジア反日武装戦線が企てたお召し列車爆破計画「レインボー作戦」はなぜ未遂に終わったか
週刊ポスト
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん(Instagramより)
《美女インフルエンサーが血まみれで発見》家族が「“性奴隷”にされた」可能性を危惧するドバイ“人身売買パーティー”とは「女性の口に排泄」「約750万円の高額報酬」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン