朝日新聞朝刊(10月18日)投書面「声」欄へ投稿された1通の投書が、波紋を呼んでいる。
《1歳半の娘と行ったフードコートで、知らない高齢男性が「かわいいね」と言いながら娘の頭を触ろうとしました。とっさに私は手で防ごうとし、男性は触らないまま離れましたが、別の場所で聞こえよがしに「冗談のわからないお母さんが増えたよなあ」と言っていました。
娘はよく、見知らぬ人に触られそうになります。特に高齢の方に多いのですが、断りもなく触ろうとするのをやめて頂けませんか。知らない人にいきなり触るのは、大人ならとんでもない行為なのに、なぜ子どもならいいと思うのでしょうか。子どもも一人の人間です。
せめて一声かけて下さい、そして、断られたとしても怒らないで下さい。どうか子どもを思う母親の気持ちを尊重していただきますようお願いします》(神奈川県 35才・主婦)
静岡県在住の主婦(45才)は、投稿者の気持ちがよくわかると頷く。
「今時、知らない子供に触るなんてありえないと思います。そんなふうに言うと“昔は違ったのよ~”と言うかたがいますけど、昔は昔、今は今ですよ。触ってくる人が全員いい人とは限らないんですから」
虐待、連れ去り、多くの事件が日々起こるなかで、今も子育て中の母親に強烈な印象を残すのは、2010年5月に起きた事件だ。
「結構前のことですけど、赤ちゃんの両足を折られた事件がありましたよね?“もし自分の子供がそんな目にあったら”と、母親が考えるのは当然です」(同前)
これは、栃木県足利市にある赤ちゃん用品店で、28才の女が乳児を連れた母親に「抱っこさせて」と声をかけ、赤ちゃんの両足を骨折させた事件で、このケースは逮捕された女が最初から悪意を持って乳幼児に近づいてきたものだが、見知らぬ人に我が子を預けるのがいかに危険かと、子育てママたちを驚かせた。
埼玉県に住む主婦(52才)も、投稿したお母さんのとった行動は当然だと語る。
「だって、触るのを拒否したら怒るなんて、それだけで怪しい人。気持ち悪いですよ。子供を守れるのはお母さんしかいない。この投書には100%同意します」
芸能人とてそれは同じ。お笑いコンビ・クワバタオハラの小原正子(40才)も、自身のブログ(7月27日)に同じような経験を載せている。「赤ちゃんみせて!」と、興奮して走ってきて子供を触ろうとしたファンの人に、小さな声で「触らないで!」と言ってしまった小原。記事では《失礼だったらすみませんでした》と謝る一方で、《子供を見て喜んでくれるのは、とっても嬉しいんだけど、やっぱり、急に触られるのは抵抗あります》と親としての気持ちを綴っていた。