まだ薄暗い明け方6時の銀座の街には、すでに70人近い人が列をつくっていた。今年もドリームジャンボで1等・前後賞合わせて7億円、サマージャンボで1等・前後賞合わせて7億円が2本当せん。平成に入ってからの億当せんは470本で計717億円を超え、名実ともに“日本一”の売り場といわれる『西銀座チャンスセンター』。
いちばん乗りは、宝くじ購入歴40年というベテランの山浦健志さん(68才)。長野県から出てきたのは発売4日前のことだ。
「どうしても1番になろうと思ってさ(笑い)。寝袋に着替え、タオルに歯ブラシを持ってやってきたんだよ。途中雨が降ったときには、売り場の軒先で雨宿りさせてもらったり。さすがにひとりの間は寂しかったねぇ」
そう言うと、すぐ後ろに並んでいた4人の男性たちが笑いながらうなずく。鈴木さん(67才=神奈川県)、山田さん(74才)、恩田さん(63才=埼玉県)、白井さん(71才=千葉県)と山浦さんの5人は、ジャンボ宝くじ発売の度に先頭にならぶ名物おじさん「銀座宝くじ5人衆」だ。
全員揃ったのは発売前夜。軽く飲みながら一緒に発売を待つのが恒例だというが、今年は1等・前後賞合わせて宝くじ史上最高額の10億円とあり気合もひと味違ったという。
「今までの最高当せんは3000円なんだけどね(笑い)。今年は10億でしょ! 日本橋の福徳神社と新橋の烏森神社に行って当せん祈願してから来たよ。どちらも当たるっていうので有名な神社だからね」(前出・山浦さん)
窓口が開くと、山浦さんは連番30枚とバラ3枚を購入。山田さんはなんと1000枚! 5人ともこだわりの方法で購入すると、「また次のジャンボで!」と解散していった。
そんな5人衆の次に並んでいたのは、男性が多い行列の中にあって一際目立っていた看護師のAさん(24才)。
「昨日の夕方から並びました。今年上京してきたんですが、ネットで“行列ができるほどよく当たる売り場”というのを見て、ここで買いたい!と思って」
アルミシートでくるんだ発泡スチロールをイス代わりに、ひざ掛け用のジャンパーとブランケット、カイロを準備。服は5枚重ね、ストッキングも2枚ばきと防寒も万全。
「特バラで100枚買う予定です。特バラは、東京、名古屋、大阪とかいくつかの売り場限定の販売方法で、100枚買ったら最低でも必ず6000円確保できる組み合わせになっているので、とりあえず!」(前出・Aさん)
抽せん日まで、黄色い布に包んで大切に保管するという。
「1等に当せんして、母親に家を買うのが夢です」
と言うのは都内在住の衛藤真紀恵さん(33才)。幸運アイテムだという曾祖母の形見の財布を持ってきたという。衛藤さんは国から難病指定されている膠原病の一種『オーバーラップ症候群』と闘っている。
「病気で26才の時に仕事を辞めて以来、実家で暮らしています。外出はほとんどできません。でも、宝くじのCMを見て、買ってみたいなと思いたちました。最近は体調もいいので、思い切って始発電車に乗ってきたんです。10億円が当たったら、母に家を買ってあげたい。ずっと心配をかけてきたので、恩返しがしたいです」(前出・衛藤さん)
※女性セブン2015年12月17日号