産婦人科を舞台にした綾野剛主演の『コウノドリ』(TBS系)が高視聴率を獲得して話題を集めている。人の生死に関わる舞台で懸命に働く医師や看護師は人々の尊敬を集めるが、実際の現場は決して美しいことばかりではない。病院の表も裏も知り尽くした現役ナースたちが赤裸々に語り合った。
匿名を条件に本音を明かしてくれたのは、黒髪が似合うハキハキとした喋り方が特徴の泌尿器科Aさん(40代)、最年少で長髪、おしとやか系の外科Bさん(20代)、茶髪で笑顔が印象的な耳鼻科Cさん(30代)の美人ナース3人だ。
──どんな時に仕事の辛さを感じるのか。
泌尿器科A:大学病院で研修していたとき、難病や重病で長期入院している子供の姿を見続けるのは、今までのどの仕事よりも辛かったなあ。新人ってドラマに影響されて小児科や救急救命を志望する子が多いんですけど、そういう子に限って現実に直面すると辛くなってやめちゃう。
耳鼻科C:私が小児科を敬遠するのは別の理由があります。なんといっても、小児科は付き添いのお母さんが凄い。苦しむ我が子を思えば仕方ないのですが、処置を適切に施していても「あなた、ウチの子に何するんですか!」とヒステリーを起こされてしまう。
外科B:私は仕事で辛いことはないけど、ナースサンダルが蒸れるのがイヤ(笑い)。最近は通気性が良く改良されてきていますが、それでも「ナースって足が臭いよね」と合コンでいわれることが多くてヘコむ。白衣で下着が透けるのもなんとかならないかな。今更気にしていられないけど、新人の頃は患者さんの視線が気になって恥ずかしかった。
泌尿器科A:これはもう慣れたので辛いことではないんですが、看護師なら必ずといっていいほどいわゆる“心霊現象”には遭遇していると思います。誰もいない病室からのナースコールや、誰もいないはずの手術室に人影とか。
耳鼻科C:私の場合、患者さんが「昨日ベッド脇に小さなオジサンがいた」といった数日後に亡くなった。その後も別の患者さんが亡くなる前に「小さなオジサンを見た」というのが続いたんですよ。あれってオジサンじゃなくて死神だったのかな……。
外科B:1人亡くなったら同じ病院で立て続けにもう2人亡くなるという説もありますね。最初に亡くなった患者さんが寂しくて連れていくと考えられていて、私たちの業界では、「あちらの世界へは“3人乗りの舟”で行く」といわれています。私はそういう話を聞くたびいつも寒気がする。なかなか慣れないな……。
※週刊ポスト2015年12月11日号