中国では11月下旬、広東省と福建省で、ごみ焼却発電施設や産業廃棄物リサイクル処理施設の建設をめぐって、地元住民が激しく抵抗し、それぞれ1万人以上の住民と警官隊が衝突し、住民と警察の双方に多数の負傷者が出たもようだ。
中国では近年、環境汚染に関して住民の意識が高まる一方で、住民のごみや産業廃棄物の処理についての知識が不足していることもあって、大規模な反対運動が暴力事件に発展する例が増えている。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博訊新聞網」が報じた。
広東省のケースは汕頭市内郊外の農村部における、ごみ処理施設建設をめぐるもの。市政府は2013年12月、建設計画を発表したところ、住民らが強く反対し、数万人規模のデモや集会が連日行われ、多数の負傷者を出したとの経緯がある。
この衝突事件で、市政府は建設に慎重になっていたが、このところ、本格的な建設準備のための調査が再開されたことで、住民側を刺激。11月中旬、現地入りした市政府の調査グループが住民グループに包囲されて、追い返された。
このため、市政府は11月下旬、約千人の警官隊や武装警察部隊を動員し、装甲車や催涙ガスなどで武装し、住民ら1万人と衝突した。住民らは農具やこん棒など武装し、石を投げるなどして抵抗したことから、双方に多数の負傷者が出た。
警官隊が周辺の道路を封鎖しているが、11月上旬も時点で、いまも双方の睨み合いは続いている。
一方、福建省の場合、省政府が11月初旬、三明市に産廃処理施設を建設する計画を発表。産廃物は同省福州や厦門、泉州など9市から集められ、三明市の処理場で焼却、リサイクルされるというもの。
これに対して、同市の建設予定地周辺の市民が反対を表明し、市政府庁舎などに1万人以上の住民が押しかけて、11月下旬から1週間以上も抗議集会を続けており、駆け付けた警官隊らともみあいになった。12月初旬の段階で、大きな衝突には発展していないが、一触即発の状態になっているという。
両省では建設する施設の名前がごみ焼却発電と産廃リサイクル処理とそれぞれ異なっているものの、同じような処理施設であると考えられる。
中国では近年、住民の環境保護の意識が高まっており、上海では昨年、日系企業のパルプ工場建設が阻止されるなど、住民による反対運動が拡大している。