モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。今回は、自動車の印象を大きく左右するボディカラーについて。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、クルマと色の関係について解説する。
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ご同輩諸君。美女はクルマに疎いため、ブランドや車種よりも「空調付きシート」のようなセレブな快適装備に強く反応することが判明している。そして、それに続くのがボディカラーである。
ボディカラーに対する女性のビンカンさは、私も常々感じている。これまでの愛車では、シャンパンゴールドのBMWが「すごくいい色!」と何度か誉められ、以前乗っていた黒いプジョーのセダンは、なんと某女子アナに「真っ黒でカッコいいですね」と誉められたことがある。45万円で買った走行12万kmのポンコツだっただけに、感激もひとしおだった。
思い起こせば当連載第1回では、美女をワインレッドの日産・スカイラインに乗せて温泉に出撃したが、彼女の第一声は「このクルマ、色がカワイイ!」だった。ワインレッドがいいというわけではなく、スポーティなセダン+ワインレッドという組み合わせがカワイイと感じたのではないかと推測される。
最近トヨタは、ボディカラーのバリエーションを増やすことに積極的だ。中でもクラウンは、これまでもピンクや空色、若草色を展開していたが、先般のマイナーチェンジでは、「ジャパンカラーセレクション」なる全12色の色を用意した。「紅(クレナイ)」「仄(ホノカ)」「茜色」など名前も日本語。繊細な色ばかりである。
が、ピンクのクラウンについては、すべての女性から「ありえない」「絶対乗りたくない」という強い拒絶反応が出ている。その他の色についても、とある美女は「いい色もあるけど、なんでクラウンなの?」と評判はイマイチ。やはり色だけではダメだ。組み合わせである。
貴重なクルマ好きの美女(38歳・ヘアメイク)に聞いてみたところ、美女をハッとさせるのに重要なのは、“適度なギャップ感”だと教えてくれた。
「例えば小型車やエコカーなら、ガンメタなどの強そうな色。逆に強そうなSUVなら、ちょっと変わったカラフルな色だと、誉めてもらいやすいんじゃない?」
なるほど! 恋愛でも適度なギャップは重要だと言う。「見た目は怖いけど、話したら意外と優しい人だったからOKしたの」といったアレだ。つまり、クルマのイメージと色のイメージを微妙にずらすところに勝機はありそうだ。
鉄板は、美女に人気のSUVに、カラフルな色を纏(まと)わせることだろう。たとえ我々が冴えないオッサンでも、オレンジ色のSUVに乗れば、きっと「いい色ですね?」と誉めてもらえるに違いない。間違いない!
※週刊ポスト2015年12月18日号