最愛のペットをどう弔うかに、多くの飼い主が頭を悩ませている。まだ数が少ない「ペットと一緒に眠れる墓」のニーズも高まっている。
11月21日、大阪・天王寺区にある泰聖寺には、多くの“遺族”が集まり、住職の読経に耳を傾けながら手を合わせていた。この日の法要は故人ではなく、亡くなったペットのために行なわれるものだ。
この泰聖寺の境内には、ペット用の火葬場がある。そこで荼毘に付された遺骨を永代供養納骨堂に納める月例納骨法要が毎月21日に開かれている。この日は約40家族が参拝に訪れていた。
ペットの個別納骨は納骨料1万5000円と年間管理料1万円。合祀埋葬であれば1万5000円のみという値段設定だ。ペットの名前を永代に残すため、石の霊標に彫刻して祀ることもできる(別途3万円~の費用)。泰聖寺の純空壮宏・住職の説明。
「お亡くなりになった大切なペットが安心して眠れる場所を用意したいと思って始めました。ペットはかけがえのない小さな家族だとお考えの方が少なくありませんが、その遺骨をどう葬ればいいのかわからないという声も多く、ペットの遺骨を手元に何年も残していた方が、インターネットで当寺を探してお見えになるケースが多いです。
ご自分が亡くなった際に、かけがえのないペットと少しでも近くで眠りたいという方もいるので、ご家族とペットを同じ墓に埋葬できる霊園も用意しています」
法律上、ペットの遺骨は一般廃棄物扱いとなるが、少なからぬ寺院、霊園では、納骨の際に一緒に納める副葬品の条件として「ペットの遺骨は不可」と明記している。泰聖寺ではそれを認めているためか、犬をかたどった石像が配されている墓も散見された。
「墓に何を望むか」──そのニーズが多様になったことを受けて出てきたサービスの一つといえよう。
※週刊ポスト2015年12月25日号