匿名のツイッターで山口組分裂騒動の内部情報をつぶやき続ける「組長」なる人物。正体をめぐって憶測飛び交うツイッター組長にフリーライターの鈴木智彦氏が接触、メディア初のインタビューに成功した。鈴木氏は実際に会って、「本物」であることを確信したという。以下は、現在は引退した「組長」の語りである。
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本音を言えば、私の所属していた神戸山口組側には……間違っているのは自分たちの側と認めて欲しい。ヤクザの筋論で考えれば、「盃」は絶対なんです。神戸側がそれに関する汚名を引き受けないと、最後まで論理が破綻してしまいます。
ヤクザのすべてが新しく生まれ変わっている時期でも、根本の部分は変えられない。ここをおろそかにすると関東連合のような半グレと同じレベルに落ちてしまう。それを認めて初めて、次の話が出来る。分裂に関する筋論や正当性を云々言い合っても、実際、命を懸けて動く若い衆には、最初から関係のない話です。
まさか敵味方になるとは思ってなかったし、弘道会にだって仲のいい人間がいます。彼は電話でこう言いました。
「そろそろかっこつけなきゃいけない場面がくる。いざGOとなってもできるかわからない。でも何人か(ヒットマンを)潜らせた」
でも彼らが特攻隊になったとして、娑婆に出てきた時には組織がないかもしれません。なにしろ暴力団そのものが無くなっているかもしれない。だからこそ本当ならみなが協力して生き残りを模索する時期なんです。そのタイミングで分裂して、同じ釜の飯を食った人間同士が争って、得をするのは警察だけでしょう。
ただお互い敗戦処理のつもりで、今後のことを話し合うという選択肢は残ってる。六代目山口組側にとっては、神戸山口組に関わった幹部全員を引退させ、組員をそっくり戻すということでしょう。
反対に神戸側にとっては、六代目親分の引退と弘道会会長の竹内さん(竹内照明若頭補佐)の絶縁、そして篠原本町(山口組本部のこと)を取り返すということになる。このように双方が譲り合わないと話し合いにならない。早く手を打たないと泥沼になる。もっと混沌としちゃう。
(文/鈴木智彦)
※週刊ポスト2016年1月1・8日号