普段はあまり仲が良くないのに、子供のお受験のために仲睦まじい姿を装う「お受験仮面夫婦」が増えているという。
そもそも、お受験を控えた夫婦は、なぜ「偽りの」夫婦仲を演出しなければいけないのか。なぜ離婚が御法度なのか。長女を名門私立小学校に合格させた都内在住のA子さん(51才・専業主婦)が言う。
「幼稚園や小学校のお受験は有名校になればなるほど、親子関係をしっかりと見る三者面談が重要視されます。夫婦一緒というのがそもそもの大前提という学校が多い。離婚して片親だった場合、学校側はまず家庭不和による幼い子供への心的影響を心配します。明るく元気に、他の子と溶け込んで学校生活が送れるのだろうか…と」
もう1つ、離婚した母親に対して学校側が慎重になる理由がある。お受験事情に詳しい教育評論家の深谷昌志氏が語る。
「経済力の問題が無視できません。特にエスカレーターで上がっていく学校の場合、幼稚園から大学に上がるまでの15年間に莫大な学費がかかります。入学後、それらの費用を捻出することができるのか。学校側にそういう懸念を抱かせる可能性があります」
例えば都心のある名門私立小学校の場合、毎年6月のボーナス時期になると、寄付を募る手紙が届くという。
《1口5万円で3口以上からお願いします》
寄付金や設備費、教材費を合わせると年間200万円近い学費がかかる学校も少なくない。高校を卒業させるまで3000万円の学費がかかる計算だ。
「実家が近く祖父母がサポートしてくれるのであれば別ですが、やはりシングルの家庭の場合、夫婦揃っている家庭に比べて教育条件が劣ってしまう部分は否定できません」(前出・深谷氏)
加えて、名門校になるほど“うちはよいご家庭のお子さんをお預かりしています”というイメージを大切にする。あらゆる点で、離婚は大きなマイナス要素になるという。
「だから、受験まではなんとか我慢するしかありません。お受験の面談には子供を真ん中に3人で手をつないで出かけ、面談中は夫を頼もしい目で見つめる妻を演出するしかないんです。夫が子育てについて熱弁する姿には正直言って“あなた、何も協力してないじゃない!”と叫びそうになりました(苦笑)」(小学校お受験を経験した母親の1人)
合格後、数年経ってから離婚する“時限つき仮面夫婦”も少なくないという。お受験界の最難関といわれる小学校に長男と次男を入学させた清原和博(48才)と亜希夫人(46才)は2014年離婚。別の都内有数の名門小学校に長女が入学した田中律子(44才)も、その後離婚している。
「最近じゃ“合格離婚”なんて言う人もいるくらい。私立小学校でも離婚している家庭は少なくないみたいですね」(前出・母親の1人)
※女性セブン2016年1月1日号