大塚家具の経営権をめぐり、実の娘である大塚久美子社長と激しく対立した、父親で創業者の大塚勝久氏。
「会社のことをよくわかっているから私に反対しているのだと思っていたが、違っていた。社長に選んだことが失敗だった」「悪い子を作ってしまった」などと反省したが、後の祭り。激しい委任状争奪戦の末、株主総会で久美子社長に敗れ、会長職を辞すことになった。その勝久氏、7月には匠大塚という会社を立ち上げた。
「騒動の会見で勝久さんの後ろにずらりと並んだ役員の一部がすでに大塚家具を辞めており、その一部が匠大塚の役員になっているようです。逆にいえば、その程度しか勝久さんについていかなかった」(大塚家具の社員)
創業者とはいえ、社員からの人望も株主からの信頼もそれほど厚くなかったということか……。
「勝久氏には何度も取材を申し込んでいますが、なかなか受けてもらえない。彼の考えを忖度すれば、長男にどうやって財産を譲るかということに尽きるのではないでしょうか。保有している大塚家具株を売却して現金にし、それを新会社の匠大塚に入れ、匠大塚を長男に譲るという算段だと思います」
と経済ジャーナリストの磯山友幸氏。だが、大塚家具関係者からは「自分の顧客も持っていないし、仕入れの実績もない。いったいどうするのか」という声が。
都内の自宅豪邸で勝久氏を直撃したが、本誌記者の問いかけを無視してそのまま車へ。その表情はなんとも冴えなかった。
※週刊ポスト2016年1月1・8日号