「二歩の話は正直年内いっぱいにしてほしいかなっていう気持ちはありますね……」と、橋本崇載八段(32)は渋い顔をした。彼は2015年3月に行なわれた将棋NHK杯で「二歩を打つ」という禁忌を犯して反則負けし、「珍事件」として話題になった棋士だ。トッププロにはあるまじきミスだ。
「大チョンボですよ。反則がわかった瞬間、夢か現実かわからなくなりました。まぁ僕は昔からそそっかしいところがあって。
でもだいたいチョンボしたときの方が話題になるんですよね。だからアグレッシブにこれもネタにしようかなと(笑い)。だけどだんだんウケなくなってきたから、今年いっぱいで封印できたらいいなって」
だが本人曰く、「二歩事件」からチョンボ癖がついてしまったらしい。
──たとえばどんな?
「財布忘れてスーパーいっちゃうとか、洗濯物を洗って干し忘れちゃうとかね」
将棋とは関係ない何ともすっとぼけた回答である。最後に2015年の反省を聞いてみると、
「棋士としてはあるまじきことなんですが『集中力が足りなかった』の一言に尽きますね。ちょっとうわの空というか、ぽかんとして気が付いたら電車乗り過ごしたこともあります」
もしかしてこのインタビューもうわの空だった?
※週刊ポスト2016年1月1・8日号