モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。今回は、スタッドレスタイヤの新たなムーブメントについて。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、突然の雪見温泉ドライブにも動じないで済むスタッドレスタイヤの使用法ついて解説する。
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昨年あたりから、スタッドレスタイヤの新たなムーブメントが生じている。それは、「太平洋側で1年中スタッドレス履きっぱなし」方式だ。
スタッドレスタイヤの使用時期は、通常12月から3月まで。春が来たら夏用タイヤに履き替えないと、摩耗してすぐにダメになる。ところが近年の技術革新により、スタッドレスタイヤの寿命が長くなり、ずーっと履いたままでもかなり持つようになってきた。これならタイヤの置き場所にも困らず、メリットは大きい。
銘柄で言うと、ダンロップの『ウインターマックス』が最もオススメだ。このタイヤはロングライフをウリにしている。昨年これを長期テストした自動車ライターのマリオ高野氏は言う。
「あえて春から秋の雪のない季節に約2万3000km走行しましたが、タイヤの溝は約2mmしか摩耗しませんでした。その後、長野県の女神湖などで氷上走行を試しましたが、駆動力と制動力については、ほとんど性能が落ちていませんでした」
2万km余で2mmの減りなら、約5万km持つ計算になる。タイヤは経年劣化もするので、5万kmまで雪上性能が持つかは保証できないが、一般的な使い方なら最低3年間は履きっぱなしでいけるだろう。
ちなみに私も現在、愛車のアクアで「1年中スタッドレス履きっぱなしテスト」を実行中だ。銘柄はピレリ。1年余で1万2000kmを走り、溝の摩耗は約2mm。ピレリのスタッドレスタイヤはダンロップより安いが、履きっぱなしの場合の寿命は2年と見た方がよさそうだ。
スタッドレスタイヤを履きっぱなしで3年ごとに交換し、常時美女との雪見温泉ドライブに備えるというカーライフは、アクティブかつポジティブである。もちろん、太平洋側を豪雪が襲い、交通がマヒした場合も、颯爽と美女を救援に行ける。頼れるオッサンを演出するには、安い投資ではないだろうか?
※週刊ポスト2016年1月1・8日号