全国民の8人に1人以上がひとり暮らしをしている日本(国勢調査による)。年末年始、多くの人は誰かと過ごしているが、ひとりで迎えるという人が年々、増えているという。
「いよいよ2015年も残すところ…」。テレビをつければ、毎度おなじみのフレーズが耳に飛び込んでくる大みそか、「年越し前には寝ています」と答えたのは石川県に住む派遣社員のK美さん(55才)。
2013年、母親が他界し、近くに住む姉がいるが、共に独身でそれぞれのお正月を迎えるという。
「いつも仕事に追われているので、年末年始はひたすら自堕落に過ごしたい! 寝倒すか、起き倒すかして、大みそか前にすでに生活リズムが崩れきっています。ひとり暮らしってそんなもんですよ。姉も同じだと思うのでメールをするくらい。年越しそばは、カップ麺ですね」
静岡県に住む会社員のA香さん(48才)は、“とある理由”から毎年、年越しはひとりで過ごしているという。
「元日を挟んで実家に帰ると姉夫婦が子連れで来ていて、お年玉を取られます。その上、お説教。それがイヤなので、ちょっとズラして帰省するんです。
大みそかは近所の中華料理店で事前に注文した中華のおせち。ひとりで食べるには充分の豪華さです。それを年越し前に開けて、こたつでワイン。『NHK紅白歌合戦』と『絶対に笑ってはいけない』を見た後、『ゆく年くる年』で除夜の鐘を聴いて、眠ります」
こたつに入って起きているような、寝ているような年越しをするというのが、「“ひとり年越し”の醍醐味」と言うのだ。
一方、「大みそかは外出する」というのは、東京都で保険代理店に勤めるY代さん(55才)。彼女は5年前に熟年離婚。そのときからお正月をひとりで迎えている。
「あの年は、クリスマスから、私の人生のカウントダウンかと思うくらい寂しくて吐き気がしました。そこで大みそかに、思い切って近所の銭湯へ。大きなお風呂で手足を伸ばしてみたら、強張った気持ちがお湯に溶けていくみたいで…」
翌年からY代さんは、「湯船の中で年越し」が習慣になった。カウントダウンの瞬間は、お風呂の中で知らない者同士が「おめでとうございます」と挨拶するという。
神奈川県でブティックを経営するK子さん(64才)は、ひとりになって夢のようなお正月を手に入れたという。
「20代後半から30年間、年末年始は夫の親族23人分の食事と、泊まり客の布団を用意して、それがすべて終わったら栃木の実家に帰って、親の愚痴を聞いて、お年玉をあげて――自分の時間なんてありませんでした」
それが、離婚した年の暮れは、妹夫婦が住むドイツまで念願のひとり旅。年明け直後には、ミュンヘンのホテルの従業員に「ハッピーニューイヤー!」と挨拶したそう。
「2015年は都内のホテルで、上げ膳据え膳、プール三昧です」(K子さん)
※女性セブン2016年1月7・14日号