株式投資などで資産1億円以上を築いた個人投資家投資家を“億り人(おくりびと)”という。彼らの成功の秘訣は、市場を独自の視点で見通し、勝てる銘柄を選別することにある。その一人、ろんぐて~る氏に2016年の投資戦略を聞いた。
「政策に下げなし」とは有名な相場格言だが、やはり政治マターによる株価の動向は気になるところ。7月の参院選で与党は「消費増税の再延期」を打ち出す。さらに選挙に合わせて日銀が金融緩和し、自民党を圧勝させる──資産6億円のろんぐて~る氏は、そんな予測をする。
「安倍総理も同じ政権で2度も増税したくないだろうから、再延期はありうるのではないでしょうか。金融緩和があれば、日経平均は2万4000円ぐらいいくかもしれません」
ろんぐて~る氏がいうと、この大胆予測も絵空事と笑い飛ばせない。同氏はアベノミクス相場の象徴となったIT企業ガンホー株で億り人になった実績を持つ。ガンホー株は2013年の年初に1株8万円台だった株価が、3月初旬に1株480万円近くまで上昇したお化け銘柄。まさに政策と株価の関連を見抜いてアベノミクスで大儲けしたのだ。
そこで同氏が打ち出す今年の投資戦略はこうだ。
「増税再延期などがあっても、やはり堅調な建設関係を狙いたい。ただし、夢があるほうがいい。大手ゼネコンでは熊谷組(東証1部・1861)が面白そう。2027年に開業が予定されているリニア新幹線のシールドトンネル工事を請け負っているので、今後10年は好況が続くと考えています」
視線は株式市場だけに向いているわけではない。昨年、フォルクスワーゲンが排ガス規制の偽装で自動車業界を揺るがしたが、自動車の排ガス浄化触媒に使われるプラチナの需要は減らないと読む。
「今は金よりもプラチナのほうが2割ほど安いという異常な相場になっていて、今後プラチナは大きく戻る可能性がある。プラチナは現物だけでなくETF(上場投資信託)でも買えるので、底値を見極めてプラチナにシフトすることを考えています。
株式にそれを当てはめるなら、ガソリン車向けの排ガス浄化触媒が主力の第一稀元素化学工業(東証2部・4082)は、PER(株価収益率)が6倍台と割安で、非常に面白い存在です」
【プロフィール】ろんぐて~る/東京都在住、50歳。アベノミクス初期にガンホー株で大勝負をして資産1億円を突破。インフレを予想し投資用不動産を買い進め、現在50戸を所有する。Twitter:@rongtail
※週刊ポスト2016年1月15・22日号