増税に伴う軽減税率導入をめぐって自民・公明両党で議論が紛糾していた昨年末、ある議員が“気になる発言”をしていた。12月11日、民主党の林久美子議員(43)が自身の主催する勉強会で、「安倍総理は消費税を10%に上げる気はない。だから軽減税率の協議でも公明党の案を丸呑みする」という内容の発言をしたという。
翌12日、軽減税率の対象品目を酒類・外食を除く飲食料品全般にすることで両党は合意。公明党はほぼ要求通りの結果を得た。まさに林氏の“予言”通り。勉強会出席者の一人がいう。
「林先生は“増税を先送りにすることで(民意を獲得し)参院選で大勝するのが目的”というような発言もしていた。旦那さんから何か聞いていたのかな、と思ってしまうほど官邸の内部事情に詳しそうでした」
この林氏、夫が安倍首相の“参謀”と呼ばれる世耕弘成官房副長官(53)なのである。
世耕氏と林氏は2013年9月に入籍。2人は共に再婚同士で、2012年夏の超党派による議員立法の活動で知り合った。与党と野党の議員の結婚であり、当時世耕氏はすでに官房副長官だったため、「機密情報を扱う立場の副長官が、野党議員と結婚して大丈夫か」という声もあがっていた。実は今回の林氏と似た発言を世耕氏もしていたと証言するのは官邸関係者だ。
「昨年11月、世耕さんは“総理が2016年夏の選挙で増税の是非を争点にすることは理屈の上ではあり得る”と言っていた。世間は増税は既定路線だと思っているが、官邸内では再延期の可能性もあると見ている」
安倍首相は消費増税よりも、経済成長による税収増を重視しているとされる。野党側にも増税再延期を想定する動きはあるが、それが林氏の発言となると、あらぬ想像を働かせてしまう。昨年、世耕氏は産経新聞のインタビューでこう話している。
「夫婦で出席する宮中晩餐会や園遊会では、閣僚から“割と仲が良いんだね”なんて言われますが、僕らはまだ新婚ですよ。仲が良くて悪いですか」(2015年8月21日付)
ますます“家庭内漏洩”を疑ってしまうが……。勉強会での発言について林氏の事務所はこう答えた。
「当該発言は、野党の一議員として見立てや分析を述べたものであり、決めつけは一切行なっておりません。世耕官房副長官とは、公的な場、私的な場などにおいて、一切政治の話をすることはなく、当然、情報の提供を受けることもありません」
世耕氏の事務所も、「夫婦でそのような話をしたことはまったくありません」と否定した。新婚の政治家夫婦が家庭内でも政治の話を一切しないとは、その苦痛はいかばかりか。仲良しだから話題は尽きない、ということか。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号