相撲協会は12月18日に定例理事会を開始し、第13代理事長に八角親方(元横綱・北勝海)を選出すること決定した。八角親方は北の湖・前理事長の急死後、理事長代行を務めていた。だが当初、八角親方の理事長就任に貴乃花親方が反対を唱えたことで協会は新たな波紋を生み出したといわれている。
無記名投票の結果、理事長就任に賛成6、反対5の僅差で八角理事長誕生となり、協会ナンバー2の「事業部長」には、貴乃花親方が割って出た二所ノ関一門で反貴乃花の急先鋒である尾車親方(元大関・琴風)が就任した。こうしたこともあり、結果として将来の「貴乃花理事長」実現はかなり遠のいたとされる。
この混乱の煽りを受けた者が他にもいる。横綱・白鵬だ。最近の白鵬はすでに引退後に目を向けている。現役ながら内弟子を5人も抱え、将来自分の部屋を興す気があるのは間違いない。最近も文部科学省を表敬訪問した際、馳浩大臣を相手に、「内弟子もいるし、一代年寄として部屋を興したい」と猛アピールしていた。
ただこれには大きな障壁がある。相撲協会の規定では、親方になるには日本国籍が必要となるのだ。
そこで白鵬は、著しい功績を収めた力士に与えられる「一代年寄」だけでも日本国籍なしで認めてもらいたいと訴え続けてきた。しかし北の湖・前理事長は「絶対に認めない」と何度も発言しており、議論は平行線を辿っていた。
北の湖氏の死去に際して記者からコメントを求められた時、「北の湖さんから一代年寄を授与されたかった」とあえて発言していることからも、一代年寄への執着が感じられる。
「しかし八角理事長が北の湖路線を継承する以上、一代年寄の制度変更を認めないと見られている。白鵬は頭の固い守旧派ではなく、改革派の貴乃花親方が理事長になれば認可されるのではと希望を抱いているとされていた。だが貴乃花理事長の実現が遠のいた今、その夢も破れつつある」(相撲ジャーナリスト)
それぞれの思惑を抱えたまま、初場所はどのような千秋楽を迎えるのか。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号