アジア人向けのED治療薬が、近く日本でも販売される。ED治療薬として有名なバイアグラやレビトラ、シアリスはすべて欧米発。しかし、韓国では国内で生産、認証されたED治療薬「ザイデナ」が多くの支持を集めている。
韓国最大手の製薬会社、東亜製薬が2005年から発売を開始。わずか2年後に、バイアグラに次いで国内2位のシェアを獲得した。バイアグラ、レビトラ、シアリスの次に開発されたため、“第4世代のED治療薬”とも呼ばれている。渋谷三丁目クリニック医師の古市昌之氏がいう。
「ザイデナの主成分であるウデナフィルは、従来のED治療薬同様、陰茎周辺の血管を拡張させることで勃起を促します。バイアグラの作用時間は4時間ですが、ザイデナは約12時間も作用します。
またバイアグラは空腹時に服用する必要がありましたが、ザイデナは食事の影響を受けにくい。顔の火照りや頭痛などの副作用がほぼないのも特徴です。韓国国内向けに開発されているため、欧米発の現行品よりもアジア人に向いているといえます」
ザイデナを愛用中の韓国人男性が話す。
「発売された当初は“韓国のバイアグラ”と呼ばれていましたが、今では本家よりも効くという人も多い。バイアグラに比べてザイデナは副作用が少なく感じるし、飲食後でも使えるのが嬉しい。欧米人よりも体が小さい私たちアジア人にとってバイアグラは効きすぎるのかもしれません」
そのザイデナと主成分が同じ薬が現在、明治グループの製薬会社MeijiSeikaファルマによって国内販売を目的に治験が進められている。ただし、同社が進めている治験は、ED治療薬としてではなく、前立腺肥大症の薬としてである。
「主成分のウデナフィルがED治療だけでなく、前立腺肥大症にも効くためです。後者の治療には毎日の服用が必要なので、体への負担が少ないように開発されているはず。ED治療薬として使ったとしてもバイアグラなどより副作用が少ないと感じるかもしれません」(前出・古市氏)
あくまで前立腺肥大症の治療薬であり、承認後にED治療目的で使う場合は、自由診療となる。また、本来の治療目的以外で使用して副作用が発生した場合、医療費などが受け取れる“医薬品副作用被害救済制度”の適用外になってしまうので注意が必要だ。
気になる承認はいつ頃なのか。MeijiSeikaファルマは、「開発が臨床試験の第2ステージであること以外、お答えできません」というのみだった。通常、第3ステージを経て審査、承認と続いていくが、早ければ年内にも発売の見通しが明らかになると見る医療関係者もいる。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号