アジアにおける政治・経済・文化の中心である日本、中国、韓国は比較されることが多い。3国を客観的な数字で比較すると何が見えてくるだろうか。「ビックマック指数」など経済・産業における指標から、集計してみた。
2015年の流行語大賞にもなった「爆買い」は中国観光客の行為を指す言葉である。急激に世界の“金持ち”として認知され始めた中国だが、実際、お金持ちはどれくらいいるのだろうか。個人の豊かさを見る「富裕層」という指標を見てみよう。
■富裕層の人数
(1)日本 245万2000人
(2)中国 89万人
(3)韓国 18万9000人
※World Wealth Report 2015
世界の富裕層(100万ドル以上の投資可能資産を所有する者)の数のランキング(2015年)では、世界1位がアメリカで435万人。実は2位には245万人で日本が入っている。件の中国は、89万人で世界4位。韓国は13位である。来日している中国人観光客は都市部の限られた人間のようだ。
英経済専門誌『エコノミスト』が1986年以来毎年発表している「ビッグマック指数」というものがある。
これは、全世界で同一品質のものが販売され、かつ原材料費や従業員の賃金などさまざまな要因を元に単価が決定されるマクドナルドの主力商品ビッグマックを、購買力の比較に使おうというものだ。
この数値が高いということは体感的な物価が高いということになるが、そのぶん消費者の購買力が高いと評価されているとも言える。
これによると、2015年のビッグマックの価格が最も高かったのは韓国であった。
ちなみに、マクドナルドの店舗数1位はダントツで日本。アメリカ文化を早くから受け入れてきた日本の戦後史を物語っている。中国へのマクドナルド進出は1990年だ。
■ビッグマックの価格
(1)韓国 4300ウォン=466円
(2)日本 370円
(3)中国 17人民元=339円
■マクドナルドの店舗数
(1)日本 3686店
(2)中国 850店
(3)韓国 243店
※2010年時点
■GDP(国内総生産、2014年)
(1)中国 10兆3600億USドル
(2)日本 4兆6000億USドル
(3)韓国 1兆100億USドル
■1人当たりのGDP(2014年)
(1)日本 3万6222USドル
(2)韓国 2万7970USドル
(3)中国 7572USドル
経済の規模を示すGDPについて、中国はアメリカに次ぐ世界2位であり、日本は2008年に中国に抜かれ第3位になっている。国土や人口の規模が圧倒的に違うため、どうしても総額ということになると中国に分があるのだが、これに人口を加味した「一人当たりのGDP」で比べてみると、日本は中国を大きく上回っていることがわかる。中国は、いまだ地方には水道・ガスさえ満足に行き届いていない地域がある超格差社会なのだ。
ただしこの「一人当たりのGDP」、日本も3国でトップとはいえ世界で見ると第27位。1980年代から2000年代初頭までは世界トップ5に入ることもあったことを考えると寂しい限りだ。また、韓国は同30位と日本に迫ってきている。
※SAPIO2016年2月号