中国では風水や占いなどで、新庁舎などの党・政府の建設プロジェクトの規模や開始時期などを決める幹部が続出しており、「職権を乱用して封建的迷信活動を行い、党や政府に多大な損害を与えた」として多数の幹部が処分されていることが分かった。
昨年末、新たに改正され、1月1日から正式に施行された「中国共産党規律処分条例」でも、党員の禁止事項のなかに、昔ながらの「迷信活動への参加」も含まれており、党員の質の低下が著しく進んでいることが露呈されている。
中国国営新華社電によると、昨年3月、腐敗や汚職などで起訴された李春城・元四川省副省長は同省の新庁舎建設に絡んで、建物の位置などを占う風水師や僧侶などを呼んで、建設時期などを決めさせ、その謝礼として1000万元(約2億円)を支払っていたことが分かっている。
李氏はこれまでも多額のわいろを受け取っていたことが分かっているが、「腐敗堕落」のほか、「迷信活動」が罪状に付け加えられている。その具体的な迷信活動の内容については分かっていないが、今後の裁判で、その内容が明らかにされるとみられる。
李氏については失脚前、「事務室に、特定の僧侶が頻繁に出入りしていた」「風水師の道場建設のために多額の支出をした」などと噂されていたが、失脚したことで、これが図らずも事実であることが証明された形だ。
李氏のほかにも、白雪山・元寧夏回族自治区副主席や朱明国・元広東省政治協商会議主席も汚職腐敗容疑のほかにも、「迷信活動」が罪状に挙げられており、多数の建設プロジェクトのほか、個人的な運勢の占いでも風水師や占い師らを雇って、その費用を公費で支出していることが分かっている。
この2人も党籍剥奪処分を受けており、近く裁判で、その具体的な罪状が明らかにされるとみられる。
中国共産党には「宗教はアヘンである」との不文律があり、党員は宗教を信じてはいけないことになっているが、個人的に悩みを抱える党員も多いことから、中には宗教を信じるケースも多い。この結果、共産主義思想に疑問を生じ、中国共産党の一党独裁体制が崩れかねないと、党中央は極めて問題視している。
このため、1月1日施行の「党規律処分条例」では第58条に、「迷信活動を組織したり、迷信活動に参加した党員幹部は、事案の重大さに応じて、批判教育から党籍剥奪までの処分が科される」と明文化している。
新華社電は「党員幹部が迷信に没頭することは、『価値の迷失』と理想の『カルシウム不足』であり、事実上の党組織への裏切りだ」と指摘しているほどで、習近平指導部は党員の宗教依存や迷信活動に神経を尖らせている。