1月20日の参議院本会議で、2015年度の国家公務員の給与を引き上げる改正給与法が賛成多数で成立した。一般職の月給が平均0.36%、ボーナス(期末・手当)が0.1か月分増え、一般職の平均年間給与は5万9000円引き上げられ666万5000円となった。
引き上げ分は昨年4月にさかのぼって1月にまとめて支給されるので、ちょっとしたボーナスが支給されるようなもの。もちろん、国会議員である安倍晋三首相の給与も増える。
公務員の給与アップは、昨年度に続いて2年連続。月給とボーナスが引き上げられるのは、バブル期だった1991年以来で24年ぶりのことだ。安倍首相はその理由を「アベノミクス成果で政府の税収が増えたから」と説明。
つまりアベノミクス効果で景気は回復傾向にあるからいいじゃないか、ということなのだろうが、国の借金が約800兆円もあり、社会保障費がかさむなかで、給料アップしている場合なのだろうか。というか、一般庶民の家庭は、増税で負担が増えて、夫の給料は下がる一方なんですけど!?
憤慨する国民をまるでバカにでもするかのように、安倍首相は年明けの国会答弁で、実質賃金が減少している理由について、「雇用が増加する過程において、パートで働く人が増えているから」と説明した。
そしてその際、共働き家庭の例として「妻は働いていなかったけど、景気がよくなってきたからそろそろ働こうかと働き始めたら、わが家の収入は私が50万円、妻が25万円。だとしたら(2人で)75万円」と発言。
「パートで25万円」とは、いったいどこの国の話なのか。例えにするにはあまりにも現実とかけ離れている。この発言がクローズアップされ、批判されるやいなや、「パートで25万円とは言っていない」とあわてて反論しているが、問題なのは、そこではない。
「安全保障関連法に反対する学者の会」に名を連ねる、社会学者の上野千鶴子さんが、一蹴する。
「本当にありえない。こんなに生活感覚のない人が政策を意思決定しているんです。公務員の給料を上げる一方で、低所得の年金受給者を対象とした給付金3万円は1回きり。単なるバラまきにすぎません。
しかも、この夏に行われる参院選前に給付するなんて、票をお金で買おうとでもいうんでしょうか」(上野さん)
※女性セブン2016年2月18日号