いつもと変わらない平日の正午だけれど、今週の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)は放送40周年で、毎日ゲストが2人いる――。
「こちらラジオの巨人・永六輔さん(82才)。そしてこちら、テレビの巨人・大橋巨泉さん(81才)です」
そんな黒柳徹子(82才)の紹介で始まった2月4日の放送は、年齢の合計245才、同級生3人によるテレビ史に残る伝説的鼎談となった。
永は2010年にパーキンソン病と診断され、歩行困難のため車椅子で出演。口は大きく開いたままで、膝の上にはブランケットが重ねられている。黒柳に「病気にならなければ、いろんなことができたわね」と言われると、永は「それが悔しいな」と複雑な思いを吐露した。
明かされたのは、およそ60年前の黒柳と永の出会いのエピソードだ。ディズニーアニメの声優のオーディションに落ちた黒柳に、「申し訳ないから」と赤いハンドバッグをプレゼントしたのが、オーディションにかかわっていた永だったという。
その永が病になった時、「ぼくに『仕事したほうがいい。病院に行けよ。医者に会えよ』と背中を押してくれた」(永)のが大橋だった。
大橋も昨年11月に腸閉塞の手術を受けたばかり。過去4度のがん摘出手術と今回の手術の影響で、以前は80kgあった体重は50kgにまで減った。
家族には「そんなやせさらばえた顔をファンの人に見せるのはどうなのか」と出演を止められたというが、「でもおれは(40周年での出演は)徹子さんとの約束だから出るって言ったんですよ」(大橋)と言葉に力をこめた。
テレビの黎明期から活躍してきた3人だけあって、思い出話に登場するのもビッグネームばかり。
永:「もう1人ここに渥美清(享年68)がいてほしかったね」
黒柳:「あぁ…泣いちゃう」
そう涙ぐんだ黒柳にとって渥美は「兄ちゃん」「お嬢さん」と呼び合い、ロマンスの噂まで飛び出した仲だった。
大橋:「植木等さん(享年80)も亡くなったし、ハナ肇(享年63)も亡くなったし、勝新(太郎・享年65)も亡くなったし…おれのことを“おい、巨泉”なんて言うのは、もう永ちゃんしかいないな」
他にも3人は、森光子(享年92)、青島幸男(享年74)、井上ひさし(享年75)、小沢昭一(享年83)ら故人の在りし日の思い出に花を咲かせた。
大橋は永の名前にちなんで長年、魚の「エイ」グッズをプレゼントし続けているのだという。
永:「忙しい巨泉が奥さんと必ず水族館に行って『エイ』を探してきてくれるの。忙しいのに…」
そう言って永は言葉を詰まらせる。
黒柳:「永さん、涙が出るぐらい嬉しいと思ってるって」
大橋:「嬉しいよ、おれも嬉しい。だから一生懸命探すのね」
そして、大橋はこう結んだ。
「60年前から永ちゃんに憧れて、いろんな病気したけど、こうやって一緒にテレビに出たりできるってことは、神様の恵みですよ」
闘病中の車いすでも、激やせしても、『徹子の部屋』の40周年だから――2人の勇気で実現した奇跡の共演はただ、すごかった。
※女性セブン2016年2月25日号