ハロー!プロジェクトのアイドルグループ・Juice=Juiceが架空のアイドルNEXT YOUを演じるドラマ『武道館』(フジテレビ系、BSスカパー!)が現在好評放送中だ。アイドル業界の裏側を描くこの作品の原作者は、『桐島、部活やめるってよ』などで知られる直木賞作家・朝井リョウ氏だ。ハロプロやつんく♂の大ファンだという朝井氏に、その魅力や、昨今のハロプロについて大いに語ってもらった。
──『武道館』のドラマ化にあたって、つんく♂さんがNEXT YOUのプロデュースを手掛けて、新曲も書き下ろしました。
朝井:まさかずっと好きだったつんく♂さんが、この作品のために曲を作ってくれるとは思ってもなかったので、本当に驚きだったし、うれしかったですね。でも、どこか信じられない部分というか、自分のなかでうまく処理できていない感覚です。
実は『ハロ!ステ』(ハロプロの情報を発信するYouTubeの番組。毎週更新)なんかもちゃんと見られなくて。メンバーの方々が急に『武道館』の話をし始めると、なぜだか見ていられなくなっちゃうんですよ。もちろんNEXT YOUの曲は大好きなんですけど、自分が書いた『武道館』のためにつんく♂さんが作ったんだ…って考えると、イントロを聴いただけで「ぎゃー!」ってなっちゃって(笑い)。これは原作者ならではの妙な感覚だと思います。
──ある意味、つんく♂さんが好きすぎるがゆえの現象ということなのかもしれませんが、朝井さんが思うつんく♂さんの魅力はどういったものなのでしょうか?
朝井:プロデューサー視点というよりも、ステージに立っているアーティストの視点で楽曲を作っているところです。ファンの人を安心させるような楽曲、つまりリスナーの需要に応えるということではなく、音楽としてカッコいいかどうかが判断基準になっているというか。歌詞の内容も全然アイドルっぽくない。言わばアイドルの楽曲としてまったくマーケティングされていなくて、ぼくはそこに社会への反骨精神を感じるというか、とにかくビンビンきてるんですよ。
そういう意味だと、今回のNEXT YOUの楽曲はドラマのなかのアイドルグループのために書き下ろした曲なので、むしろマーケティング的な様子はあったとは思うんですが、それでもやっぱりつんく♂さんらしさ全開で、そこは本当にうれしかったし、最高だと思いましたね。
──となると、つんく♂さんがハロプロの総合プロデュースから離れてしまったのは残念ですね…。
朝井:ぼくの場合は、アイドルが好きっていうよりも、むしろつんく♂さんが好きっていう気持ちが強いので、由々しき問題です。
──でも、モーニング娘。に関しては、今後もつんく♂さんがサウンドプロデュースを手掛けることになっています。
朝井:『私のなんにもわかっちゃない』(モーニング娘。’15の秋ツアーで披露された楽曲。音源化はされていない)なんて最高でしたよね! 間奏のダンスに混ざりたい! 卒業するズッキの代わりに腕を拡げて胸を打ちたいですよ……。
──鈴木香音さんを真ん中に配置して、三角形みたいな列を組んでいるやつですね!