一部に熱狂的な人気を誇るラーメン店がある。黄色い看板がトレードマークの「ラーメン二郎」だ。関東圏を中心に全国に40店舗、人気店には長い行列ができ、「ジロリアン」(二郎ファン)たちが1時間以上待つことも珍しくない。
特徴はその量だ。「小」サイズでも通常のラーメンの3倍くらいある。丼には野菜(モヤシ、キャベツ)と分厚い豚肉が山盛りになっており、それらを箸でよけるとこぼれんばかりの大量の極太縮れ麺が姿を現わす。スープは脂分たっぷりのとんこつ醤油味で、刻みニンニクを入れて食べるのがポイントだ。1杯あたり推定1500キロカロリー以上。
この二郎を、昨年3月からほぼ毎日食べ歩く強者がいた。ネット上で「康太さん」の名前で知られる人物で、食べた二郎の画像を感想とともにツイッターにアップ。「麺、コレ好きィ!味染みまくりィ!」「ブタ、ホッロホロ!」「汁神域ィ!」「クニュ麺、プリブタ、ミルキィ汁ッ!我忘れて貪れるもの」といった独特な文体には謎の疾走感があった。
特筆すべきは文末に必ず〈完飲。〉とあること。そうこの御仁、毎回、脂まみれのスープを一滴残らず飲み干していたのだ(空になった丼をアップしていた)。
その康太氏が14日、以下のツイートを残して突然更新をストップ。康太氏の“失踪”は二郎界に大きな衝撃を与えている。
〈アクシデント発生の為、二郎巡りが困難な状況となりました。このお報せを以って更新を終了します。ありがとうございました。Fin〉
20代のジロリアンは涙を浮かべながらこう語る。
「その前に食べたツイートから1週間呟きがなく、心配していた矢先の終了宣言でした。やっぱり体調を崩したんでしょうか……」
塩分&脂分、摂取カロリーを考えれば決して体に良い生活をしていたとは思えないから、仕方ないような気もするのだが……。
本誌は康太氏を追った。最後に食べた新小金井街道店の常連客にも話を聞いたが、そもそも康太氏の顔を知る者がおらず、有力な情報は得られなかった。
前出のジロリアンはこう語る。
「実は康太さんは以前も同じように失踪したことがある。ブログを突然中断し、ツイッターで復活したのです。今回もまた復活してくれると信じています」
康太氏が再び「我忘れて二郎を貪る」日は来るのか。「アクシデント」が体調不良でないことを祈ります。
※週刊ポスト2016年3月4日号